10月1日は、メガネの日
トニーの様子がおかしい。
今まで普通に読んでいた書類や新聞なのに、最近やたらと目を細めたり顔を近づけたり遠ざけたりしているのだ。そのことにペッパーが気付いたのは数日前。
そして今日もトニーは目の前の書類の山と格闘してたが、しばらくすると自分で読むことを諦めたようだ。
「おい、ペッパー。何と書いてあるか読んでくれ」
差し出された書類には、細かい字がびっしりと書かれており、これではトニーが読みたくないのも無理はないわねと思ったペッパーだが、別の書類を手に取ったトニーは先ほどと同じように読みにくそうにしているではないか。
(もしかして…)
彼の仕草にふとあることを思い出したペッパーは、本人は認めたくないかもしれないわね…と思いつつ、一人ブツブツと言っているトニーに声を掛けた。
「トニー、老眼じゃない?」
一瞬何を言われたのかとポカンとしたトニーだが、『老眼』と言われたことに気付いた彼は、椅子の上で飛び上がった。
「ろ、老眼?!私が老眼だと?!」
わなわなと震えたトニーだが、自分でも内心はそろそろ老眼が出始めた頃だと思っていたのだから認めざるを得なかった。
ということで、仕事帰りにメガネを買いに2人はLAでも人気のメガネ店へやって来た。
サングラスはいつもブランド店で購入することが多いトニーだが、さすがに老眼用のメガネとなると、メガネ店に来ざるを得なかった。
大人しく度数を合わせてもらったトニーは、ペッパーとフレームを選び始めた。
「スターク様、こちらは今一番人気の商品でございます」
あのトニー・スタークが来店したと沸き立つ店員たちは、我先に厳選したフレームを薦め始めた。
だが、トニーはちらりと視線を送っただけで生返事だ。
「トニー、これはどう?」
一方、トニーの好みを熟知しているペッパーなのだから、彼女が薦めるフレームをトニーが気に入らない訳がない。次々と試着してみると、どれも似合いすぎるのだから正直選べない。
「おい、全部くれ」
結局選びきれなかったトニーは、ペッパーが選んでくれたメガネ全てを注文すると、颯爽と店を後にした。
「スターク様…老眼ばかり30本も、どうされるのかしら…」
と、店員たちが話していることを、トニーもペッパーも知る由もなかった。
***
50近くになり、そろそろ老眼なトニーのお話。
トニーの中の人は近眼なのでメガネかけてますけどねw