107. Ceremony

某雑誌の『今年の顔』に選ばれたトニーは表彰されることになり、妻であるペッパーを連れてパーティー会場へとやって来ていた。
お偉い方の挨拶から始まり各賞の発表があり、パーティーも終盤に差し掛かった頃、いよいよトニーの番がやって来た。
「今年の顔は、トニー・スタークさんです!では、スタークさん、ステージへどうぞ!」
名前を呼ばれたトニーはペッパーにキスをすると立ち上がり、軽やかにステージへと向かった。
日頃『手渡しは嫌いだ』と豪語しているトニーだが、さすがに今日は素直にトロフィーを受け取った。そして受賞スピーチをしようと、マイクへ向かった彼は、鳴りやまない拍手を制するように手を振った。
静かになった会場に咳払いをした彼は、話し始めた。
「みなさん、ありがとう。素晴らしいな。私が『今年の顔』か。ありがとう。感謝する。スピーチは1分で済ませるように言われているが…しまった、もう10秒も使ってしまった」
腕時計を見たトニーに、会場からどっと笑いが沸き起こった。それに気を良くしたトニーは、鼻の頭を擦るとトロフィーを持ち直した。
「残り50秒は真面目なコメントを言おう。何度も言うが、私に投票してくれ感謝する。私は多くの人に支えられている。私を支えてくれる全ての人に感謝したい。特に感謝したいのは、妻だ」
そう言うと、トニーは優しい視線をペッパーに送った。
「妻はいかなる時も私を支えてくれている。それは結婚する前から、ずっとだ。偏屈な私に振り回され大変だと思う。だが、ペッパー、私は君がいるからここにいる。君が私を愛し信じてくれているから戦える。ペッパー、ありがとう。君にはいくら感謝してもしきれないくらいだ。それから、今日は来ていないが…家で留守番している子供たち。パパはお前たちがいるから頑張れる。エステファニア、エリオット、お前たちがパパとママの子供として生まれてきてくれたこと、本当に感謝してる。ありがとう」
中継用のカメラに向かって投げキスをしたトニーは、トロフィーを持った手を上へ掲げた。
トニーのスピーチに感動したのか、大粒の涙を零し泣いているペッパーに気付いたトニーは、ステージを飛び降りた。
何事かと騒めいた周囲を他所に、トニーはペッパーの元に駆け寄ると、彼女を立ち上がらせた。そしてその場に跪くとトロフィーを彼女に渡した。
「ハニー、君にこの賞を捧げる。ペッパー、ありがとう。愛してる。毎日言っているから新鮮味がないかもしれないが…私には君だけだ。永遠に愛してるよ…」
涙が止まらないペッパーは言葉にすることが出来ず、何度も頷いた。立ち上がったトニーはペッパーを抱きしめると優しくキスをした。
そんな二人の姿に感動した人々は、惜しみない拍手を送り続けたのだった。

1人がいいねと言っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。