106. Settle

ある昼下がり。アベンジャーズタワーに怒声が響き渡った。
「君とは絶交だ!!!」
「はいはい、面倒くさいじいさんだ。そんなじいさんとは私も付き合いきれない」
どうしたのかは知らないが、突然喧嘩を始めたのはトニー・スタークとスティーブ・ロジャース。
一体何事かと、リビングでくつろいでいたブルース、ソー、ナターシャとクリントは、恐る恐る二人に近づいた。
すると、4人に気付いたトニーが、ジロリと睨みをきかせるとブルースの腕を引っ張った。
「ブルース、君は私の味方だろ?」
「えっと…」
はっきり言って何のことだが分からない。ポカンと口を開けている4人に、トニーとスティーブが説明し始めた。
「私とキャプテンは意見の相違から、決別することにした。すなわち、チームも2分割する」
「そうだ。今後は私が率いるチーム・アベンジャーズとスタークが率いるチーム・アッセンブルに分かれる。君たち、どちらに付いて行きたいか考えてくれ」
微妙にダサいネーミングはおそらくキャプテンが考えたのだろうが、決別の理由が全く分からないのだ。
「で、どうして決別しなきゃいけないの?」
大げさにため息をついたナターシャに、トニーがポツリと呟いた。
「ブルーベリーだ」
「は??」
思わず顔を見合わせた4人に、トニーはスティーブを睨み付けた。
「だから私はブルーベリーが好きだ。目のためにもいい。じいさんは90すぎだ。だからブルーベリーを食べるように勧めた。だが…」
「私はブルーベリーがあまり好きではない。最初に顔を合わせた時も断った。それなのにスタークはしつこく勧めてくる。だからもう我慢できない。顔を合わさなければ勧められることもない。だから決別することにした」
うんうんと頷くトニーだが、決別の理由が想像以上にくだらないため、4人は頭を抱えてしまった。だが、当の本人たちは…いや、トニーは明らかにスティーブをからかっているのだが、そのスティーブは至って真剣だ。
「おい、どうなんだ?!」
なかなか決断しない仲間たちにしびれを切らしたトニーは足を踏み鳴らした。
仕方ない、しばらくこの茶番劇に付き合うか…と気付かれないように4人は視線を交わした。

「そうだね…。僕も好きだから…」
そう言うと、ブルースはトニーの横に立った。
「ソーはどうするんだい?」
仲良く並んだ科学者と億万長者、そして一人立っているキャプテンを見比べたソーは肩を竦めた。
「人間は本当にくだらないことで仲違いする。だが、スタークに付いていけば美味いものを食わせてくれる」
そう言うと、ソーはそそくさとトニーのそばに向かった。
これで3対1だ。
勝ち誇ったようなトニーと悔しそうなスティーブ。これではトニーの圧勝に決まっている。そもそもアベンジャーズのメンバーはスティーブを除いて、ブルーベリーが好きなのだから…。
だが、そうなると面白くない。そう考えたナターシャは、トニーの方へ歩むと見せかけて、くるりと向きを変えた。
「じゃあ、私はキャプテンの方に行くわ」
「は?おい、ロマノフ。私の方には君の親友のペッパーがいるんだぞ?」
「はいはい。でも、人数が少ないとキャプテンがかわいそうだから」
スティーブの横に並んだナターシャを見て、トニーサイドに向かっていたクリントも慌てて方向転換した。
「ナットが向こうなら俺も…」
「バートン!お前…」
「すまんな、スターク。俺はブルーベリーを愛しているが、ナットには逆らえない」
結局3対3で綺麗に分かれてしまった。自分の方が優勢だと高を括っていたトニーは、ガックリと肩を落としたトニー。

「どうしたの、みんな?」
そこへやって来たのは、ペッパー。その手には香しい香りを放つ料理を持っている。
「ただの痴話喧嘩よ」
肩を竦めたナターシャと、見事に二手に分かれたアベンジャーズのメンバーを見たペッパーは、何となく状況を理解した。
「ブルーベリーのケーキとパイを作ったの。みんな食べて感想を聞かせて?」
よりによって今回の喧嘩の元凶であるブルーベリー。一瞬凍り付いたリビングだが、それに気づいているのに気づかないふりをしたペッパーは、ケーキとパイを切り始めた。

「美味い!!」
「ペッパーが作ったんだ。美味いに決まってるだろ!」
続々とペッパーの元に寄り、ケーキとパイを頬張る仲間たち。気付けばぽつんと一人立ちすくんでいたスティーブだが、先ほど『ブルーベリーは嫌いだ』と啖呵を切ってしまったのだ。そしてそれが原因で仲間と決別する羽目になったのだ。
仲間に入るに入れないスティーブに気付いたペッパーは立ち上がると、彼の腕を取り仲間の輪の中に無理やり座らせた。
「スティーブ、食べてみて?」
にっこりと笑みを浮かべたペッパーにそう言われればスティーブも嫌だとは言えない。
「あぁ…」
恐る恐る口に入れたスティーブだが、その瞬間ほんのりとしたそれでいて絶妙な甘みが口の中に広がり、彼は飛び上がった。
「う、美味い!!!こんなに美味いケーキとパイは初めてだ!」
目を輝かせたスティーブは、パクパクとケーキを口の中に入れている。
「そう言ってもらえると嬉しいわ。たくさんあるからどんどん食べてね」
苦笑したペッパーは、呆れたように目を回したトニーの横に座ると、彼のヒゲに付いていたクリームを拭った。

「スターク!ブルーベリーは美味いな!!やはり私たちは同じチームだ!スターク、決別の話は白紙に戻そう!」
「はいはい」
夢中で食べているスティーブに、ブルースとクリント、ナターシャも苦笑い。ちなみに同じく夢中で食べているソーは、気付いているのか気付いていないのか…。
ペッパーの肩を抱き寄せたトニーは、彼女の耳元で囁いた。
「君はやはり私たちの救世主だ」
ふふっと笑ったペッパーの頬にキスをしたトニーは、ナターシャに向かって顎をしゃくった。
「何回目だ?」
「今日で12回目よ。全くいい加減にしてよね。毎回付き合わされる私たちの身になってよ…」
同感だとばかりに頷く仲間たちからぷいっと顔を背けたトニーは、ケーキを一口サイズに救うと、何か言いかけたペッパーの口に放り込んだ。

※こんなくだらないCivil warなら大歓迎です(笑)キャップがバカっぽくってごめんなさい…

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