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『空っぽなのよね、あなたの心って』
一夜を共にした女性から何度も告げられた。だが、『空っぽ』とはどういうことなのか理解できない。
確かに、武器商人である私は、幾度となく言われている。『人を傷つける道具で金を儲けている。お前には人としての心がないのか』と。だが、私はこの国のために尽力を尽くしているのだ。この国の人々を守るために…。
今宵もオンナに言われた。『心が空っぽ』だと。だからそのオンナに告げた。『私は愛国心のある男だ。この国のために武器を製造している。だから冷酷だと言われようが私は自分の心に従う』と。
するとオンナは言った。『私が言いたいのはそういうことではない』と。
意味が分からない。『心が空っぽ』とはどういうことだ?私は『心が空っぽ』なのか?

そう告げられたペッパーはため息を付くと目をクルリと回した。
確かにこういう仕事柄、『冷酷だ』とか『良心がない』だとか言われることは多々ある。
だが、彼女たちが言う『心が空っぽ』とはそういうことではないのだ。
おそらく、『トニー・スタークには誰かを本気で愛するという気持ちがない』と言いたいのだろう。
だが、ペッパーは知っている。彼にも『人を愛する』心があるということを…。

「あなたの心は空っぽじゃないです。あなたには心があります。それは私が一番良く知っています」
ペッパーが笑顔でそう告げると、トニーは安心したように息を吐いた。
「君が言うならそうなのだろう。君の言うことはいつだって正しいからな」
鼻の頭を擦ったトニーは、ペッパーに向かって笑みを浮かべた。

※IM1前の二人

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