99. Believe

トニー・スタークが信じるもの。
それは自分自身と、彼にとって欠かすことのできない彼女…つまりペッパー・ポッツだけ。
だから、言葉では『信じている』『信頼している』と言うが、心の底から信頼してるのは、彼女だけなのだろう。
今回のペッパー・ポッツ誘拐事件で、それがはっきりと露見した。
というのも、仲間の援護を待たずに単独で救出に向かったトニーは、案の定待ち伏せされ危うく死にかけたのだから…。

***
「スターク、私たちは信頼できないか?」
見舞いに来るなりスティーブに責め立てられ、トニーは目をくるりと回した。
「そんなことはない。君たちのことは信頼している」
彼にしては珍しく素直に言ってみたが、今この有様なのもあの時自分が単独で行動したせいなわけで、どうも説得力がない。
それが分かっているのだろうか、それとも本当に腹を立てているのだろうか、唇を噛みしめたスティーブは真っ赤な顔で怒鳴りつけた。
「それなら、なぜ単独で動いたんだ!君が一刻も早く彼女を救出したかったのは分かる!だが、君は死にかけたんだぞ?それがどういうことか、君は分かっているのか!我々は君を失うところだったんだ!!」

トニーはようやく気付いた。スティーブが怒っている理由を。
単独で動き死にかけたことよりも、自分たちを信頼していないということに腹を立てているのだと。
だからこそ、トニーも本心を告げることにした。
「…すまなかった…。だが、あの時はペッパーを助けたい一心だった。だから気が付いたら単独で動いていた。だから君たちを信じていないということではない。だが…すまなかった。許してくれ…」
ベッドに横たわったまま頭を軽く下げたトニーに、スティーブはしかめっ面を崩すと彼の手を取った。
「スターク。我々はチームだ。だから仲間を信じてくれ。いや、全てを信じなくてもいい。だが、君を失いたくない。君は大切な仲間なのだから…。それだけは信じてくれ」
トニーの手を軽く叩いたスティーブに、顔を上げたトニーも笑顔で頷いた。

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