82. Work

「あんたがあの有名なペッパー・ポッツでしょ?あんた、こんな仕事させられて嫌じゃないの?」
自分はトニー・スタークと関係を持ったのよと無言で語った女性は、迎えの車に押し込まれる前にペッパーを威圧的に睨み付けた。
「仕事ですから」
そう答えてみたものの、ペッパーの心には虚しさしか残らなかった。

トニーは毎回のように彼女に『一夜の後始末』を頼んでいた。

情事の後の残る寝室に入ったペッパーは、窓を開けると、ほんのり湿ったシーツを取り払った。
「これも仕事のうちだから仕方ないわね…」
洗濯したばかりのシーツを張り替え、散らかった部屋を片付ける。
これは秘書の仕事ではないのでは…と何度も自問した。だが、自分はトニー・スタークの『個人的な秘書』なのだ。だからこれも立派な仕事だと思い取り組んでいたが…。
「私だって本当はしたくないわよ…」
ベッドの端に座り込んだペッパーは、そっと目を閉じた。
浮かんできたのは、トニーと愛し合う見知らぬ女性。だがよく見ると、その女性はペッパー・ポッツではないか。
「や、やだ!!!」
赤面したペッパーは頭を乱暴に振ると立ち上がった。
「仕事しなきゃ!」
どうしてそんな情景が浮かんだのか分からない。だが、今の自分の仕事はトニー・スタークと愛し合うことではないのだ。
「もう…」
頬を軽く叩いたペッパーは、シーツを丸めると部屋を後にした。

最初にいいねと言ってみませんか?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。