ふと、遠い昔のことを思い出した。
あれは彼女が私の秘書になって数年経った頃だった。
海外出張で泊まった小さな街のホテル。諸事情あり、私たちは初めて同じベッドで眠った。
あの夜、私は彼女を初めて『オンナ』として意識した。
今思えば、彼女も何か感じ取っていたのかもしれない。同じ気持ちだったのかもしれない。
白く美しい肌、長く美しい赤毛、化粧を取った素顔にも溢れかえる可愛らしさと色気…。そしてその細く美しい身体から醸し出される甘い香り…。
全てが私の本能を駆り立てた。
赤く誘うような唇を奪いたい。柔らかな胸に触れたい。白い肌に己の印を刻みたい…。そして心も身体もモノにしたい…。
彼女をモノにしたいという欲望と、彼女との関係だけは大切にしたいという理性と、必死に戦った夜だった。
そうだ、覚えているか聞いてみるか。彼女のことだ。きっと覚えているだろうが…。
せっかくだ。またあの思い出のホテルに泊まってみるのもいいかもしれない。今度こそ抱き合い眠るために…。
※67.Maleのトニーサイドです。