63. Hero

「ねぇねぇ、ヒーローランキングですって!」
ペッパーの言葉に読んでいたPC雑誌から顔を上げたトニーは眉を潜めた。
「どうしたんだ、急に?」
そんなランキング、いつの間にしたのだろう…と首を伸ばしたトニーに、ペッパーは自分が読んでいた雑誌を差し出した。
それは女性向けの雑誌なのだが、様々な分野の人がランキング形式で紹介されており、もちろんアベンジャーズのランキングも掲載されていた。が、数分後にはトニーはその特集を見たことを後悔した。と言うのも…。
「まずは、『恋人にしたいランキング』ですって」
意気揚々とページを捲ったペッパーだが、その眉間には次第に皺が寄り始めた。
「アイアンマンが1位よ。お金持ちだから何でも買ってくれそう…って…何よこれ!」
頬を膨らませたペッパーだがトニーは苦笑い。世間の意見なんてそんなものだと彼女を宥めたトニーは、次のランキングを指さした。
「ほら、まだあるぞ。『キスが上手そうなランキング』…」
読まずとも分かっている。順位を目で追った二人は、1位の欄に燦然と輝くアイアンマンの文字にため息をついた。
「次…読む?」
「もう何個か見てみるか…」
次に二人が見たのは、『肉体美ランキング』。
「肉体美…」
ちらりとトニーを見たペッパーは、1位から順番に追っていくが、キャプテン・アメリカ、ソーの後に続いていたのは、ブラック・ウィドウとホークアイ。お目当てのアイアンマンは5位という順位だ。
「5位?!」
別にキャプテンや神様に勝てるとは思っていないが、まさか5位、それも自分より下は2票差でハルクことブルース・バナーしかいないとは…と内心ショックを受けたトニーにペッパーの言葉が突き刺さった。
「理由はね…【アーマーを脱いだらただのおじさんだから】…って、酷いわ!確かにスティーブやソーに比べると…だけど、トニーだって脱いだら凄いんだから!みんな知らないからこんなこと言うのよ!」
自分の裸を見れる唯一の女性に『脱いだら凄い』と言われたトニーは機嫌を直すと、次の項目を指さした。
「私の裸は後で存分に見てくれ。ほら、次だ。『抱かれたいヒーロー』か…」
ちらりと紙面に目を向けると、1位に欄には自分の名前。しかも【あれだけ遊んでたし、凄いテクニシャンらしいから】という理由までも見てしまった。ランキングはまだまだ続いている。もっとまともな物だと思っていたが、どうやらそうでもなさそうだ。
ペッパーから雑誌を奪い取ったトニーは遠くへ放り投げると、彼女を膝の上に乗せると首筋にキスを刻み始めた。
「どうしたの?」
擽ったそうに身をよじったペッパーだが、トニーは腕の中に彼女を閉じ込めた。
「世間のランキングよりも、私は君のランキングを聞きたい。君にとってキスが上手いのは?抱かれたいヒーローは誰だ?」
不機嫌そうに小さく唸ったトニーに苦笑したペッパーは、彼の髪を優しく梳くと額にキスをした。
「もちろん1位はアイアンマンよ。アイアンマんはみんなのヒーローだけど、私だけのヒーローでもあるもの…」
ペッパーの言葉ににんまりと笑ったトニーは、彼女の耳たぶを甘噛みすると、立ち上がり寝室へと向かった。

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