「ペッパーの秘密?そうだな…。大きな声では言えないが、酔うと大胆になるんだ。そんなことは誰にでもあると言いたいだろうが、ペッパーは……その……」
何か思いだしたのか、彼にしては珍しく顔を真っ赤にしたトニーは、口ごもってしまった。
黙ったままのトニーだが、秘密を聞く前なのだ。続きを話すようにナターシャとクリントが促すと、ため息をついたトニーは、ペッパーが近くにいないことを確認すると、声を潜めた。
「酔うと人格が変わるんだ。人間誰しも酔えばそれなりに変わるだろう。だが、ペッパーは…Sになるんだ。そうは言ってもいつもはかわいいものだ。だが、昨晩は…」
ゴクリと唾を飲み込んだトニーは、額に浮かんだ汗を拭った。
「昨晩、美味いワインが手に入ったからと二人で飲み始めたんだが、しばらくするとペッパーは暑いと言い、服を脱ぎ始めた。どこまで脱いだと思う?全部だ!全部!洋服どころか下着まで脱いだんだ!さすがの私も呆気にとられた。今までも酔ったことは何度もあるが、そんなことは初めてだったんだ。どうすればいいか迷っていると、ペッパーは私の膝の上に座ったんだ。そして胸を顔に押し付けてきた。好きなオンナにそんなことされてみろ。どうなるか分かるだろ?身体は火照り私は限界だった。その場に押し倒そうとしたんだが、ペッパーはダメだと言うんだ。私を押さえつけて…。後は分かるだろ?言わなくても」
軽く咳払いしたトニーは水を飲み干した。
「で、どうなったの?」
ここからが本番よね…と、内心ニヤっとしたナターシャだが表情一つ変えない。目をギラつかせているクリントとナターシャを見比べたトニーだが、その時のことを思い出したのか、切なそうに眉を潜めた。
「ペッパーの舌遣いに私は限界を感じた。だから言ったんだ。我慢できない…と。するとペッパーは私から離れるとベッドに横たわった。これはいよいよ…と意気揚々と近づいたんだが…」
言葉を切ったトニーはもそもそと身体を動かした。ほんのり高揚した頬を軽く撫でたトニーは、二人を手招きするとさらに声を潜めた。
「どうなったと思う?いや、もったいぶるのはやめよう。実はな…ペッパーは寝ていたんだ!ぐーすかと気持ちよさそうに眠っていたんだ!まさか寝ている彼女と…とさすがの私もできない。私は途方に暮れた。この火照った身体をどうすればいいんだと…」
真っ赤な顔をしたトニーは言葉を続けようとしたが、慌てて立ち上がるとどこかへ去って行った。
こんな話を…しかも中途半端に聞かされてどうすればいいのだろうか…。顔を見合わせたクリントとナターシャは、盛大にため息をついたのだった。