52. Shades

ビーチサイドで開催されたチャリティーイベント。
太陽直撃の真夏のビーチは出来ることなら避けたいのだが、生憎主催者がSIの関連会社とあっては、トニーもペッパーも参加せざるを得なかった。

「暑いわね…」
ここ最近の熱波のせいか、いつもはカラッとしているビーチも蒸し暑く、まるで灼熱地獄。パラソルの陰にいても暑さを凌げるわけではなく、ペッパーは吹き出る汗を拭うとパタパタと手で仰いだ。
どうしてこんな時期にこの場所でイベントをするのかしら…と、若干ぼんやりし始めた頭で考えていたペッパーだが、隣に座るトニーは涼しい顔をしているではないか。そのトニーの横顔がぼやけて見え始めたペッパーが、いよいよ限界だと立ち上がったその時だった。ぐらっと身体がふらついたペッパーの目の前は真っ暗になった。

「…ん…」
一瞬どこにいるのか分からなかったペッパーだが、何度か瞬きするうちに意識もはっきりしてきた。
「ハニー?大丈夫か?」
頭上から聞こえる愛しい声。先ほどまでとは違い、ひんやりと涼しい場所。そして頭の下の温かく柔らかい感触に、ペッパーは自分がトニーに膝枕をされていることに気が付いた。何が起こったのか理解できていないペッパーは目をぱちくりさせていたが、自分が置かれている状況に真っ赤になると慌てて立ち上がろうとした。それを押し留めたのはトニー。ペッパーの頭を撫でると、額にそっと口づけをした。
「急に起き上がるな。熱中症で倒れたんだ。無理するからだ。それに…」
ペッパーの頬を撫でたトニーはそのまま手を動かすと、彼女のお腹に触れた。
「君一人の身体じゃないんだぞ?」
トニーの手に自分の手を重ねたペッパーは小さく頷くと、彼の手を借りてゆっくりと起き上がった。
「ごめんなさい…」
腕を伸ばしたペッパーを抱き寄せると、トニーは優しくキスをし始めた。
「謝るな。君のせいではない。だが、お願いだから気を付けてくれ。君たちは私にとってかけがのない大切なものなのだから…」

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