「ハニー…。大丈夫だから、出ておいで…」
ドア越しに聞こえる切ない声。低く掠れた声で呼ばれると、例え彼を傷つけてでも全てを投げ出し扉を開けたくなる…。でもそれは、今の私には叶わぬ夢…。
あのクリスマスの事件で、私は超人的な力を身に付けた。事件後、彼は私を治そうと、マヤ・ハンセンから託された資料を元に、必死に解決の糸口を探している。そんな矢先、起こった事故。彼の声に誘われるように抱きついただけだった。甘い囁きを期待していた私は、彼の悲鳴で現実へと引き戻された。
『自分の力を考えていなかった…』
そう言えばいいのかもしれない。でも、彼を傷つけてしまったことに変わりはない。
『心配するな、大丈夫だ』
彼は私のことを一切責めなかった。でも、左腕を吊り青い顔をしてベッドに横たわる彼に、堪らなくなった私は寝室を飛び出した。
今、あなたに触れると、また傷つけてしまう…。あなたが苦しむ顔は見たくないの…。
「ごめんなさい…トニー…」
扉を挟んで背を向け座り込んだ私たち。
でも、せめて存在だけでも感じたい…。扉に触れると彼の温もりが伝わった気がした。
※IM3後のエクストリミスペッパー