Special Holiday④

Day3

目が覚めるとペッパーは朝日が差し込む寝室にいた。
「あら?私…いつの間に…」
ぼーっとする頭で昨日の記憶を辿る。昨日はあのままシアタールームのソファーの上で、トニーに何度も愛され気を失ってしまったはず…。
トニーが連れてきてくれたのね…。
「トニー…」
だが、手を伸ばすも隣にいるはずのトニーはいない。
「もう起きたのかしら?」
眠い目をこすりながら、全身に散らばる情事の跡を隠すようにシーツを巻きつけると、ペッパーはバスルームへ向かった。

*****
シャワーを浴びたペッパーがキッチンへ向かうと、香ばしい匂いが漂っていた。
「トニー?何やってるの?」
何やらカウンターでゴソゴソしていたトニーは、ペッパーの声に顔をあげた。
「おはよう、ペッパー。君の朝ご飯を作ってたんだ」
「珍しいわね…」
トニーの手元を覗き込むと、キツネ色のパンケーキがフライパンの中で香ばしい香りを放っている。だが、背後のカウンターには…黒焦げになった残骸が山のように置いてあるではないか。
その残骸を目の端で捉えたのに気づいたのだろう。ペッパーに座るように促したトニーは、コーヒーとパンケーキのプレートをペッパーの前に並べた。
「美味しそうね…」
プレートにはパンケーキとフルーツが盛られ、ご丁寧に生クリームまで添えてある。
トニーったら、どこでこんなレシピを覚えてきたのかしら?
なかなか手を付けないペッパーにジャーヴィスが声を掛けた。
『ペッパー様。味は保証します。一流レストランのレシピです。ただ…焼き具合はトニー様にお任せしておりますので、保証はいた…』
「黙れジャーヴィス」
ホットミルクを飲みながら宙を睨んだトニーは、ナイフで切り分け口に入れたペッパーを不安そうに見つめた。
「トニー!すごく美味しいわよ!」
「そうか。よかったよ」
ニコニコと嬉しそうに食べるペッパーにトニーはホッとしたように笑った。

*****
朝食後、ソファーの上で抱き合っていた二人だが、手元の時計を見ていたトニーが膝の上に座っていたペッパーを立ち上がらせた。
「着替えろよ。出かけるぞ」
「どこに行くの?」
「内緒だ」
ウインクしたトニーは、戸惑うペッパーを助手席に押し込んだ。

トニーの運転する車はプライベートジェットのある飛行場へ止まった。
「ねぇ、トニー。飛行機に乗るって…」
車内でも何も教えてくれなかったトニー。ペッパーは何とか行き先を聞き出そうとするのだが、トニーは笑うだけで答えてくれなかったのだ。
「さぁ、ペッパー。少し遠出するぞ」
ペッパーの手を取ると、トニーは手の甲にキスをおとした。

席に座るや否や、ペッパーはトニーを質問攻め。
「遠いってどれくらいかかるの?」
「さあ、どれくらいかな?」
「もう…遠出するなら行ってくれてもいいのに…。私にも準備が…」
「大丈夫だ。君の分の荷物はちゃんと持って来ている」
「え?いつの間に?!」
「さぁ、いつだろうな」
ニヤニヤと笑うトニーにはぐらかされてばかりのペッパー。
(もう…何で教えてくれないの?こうなったら…。あの作戦よ!)
「教えて。お願い…」
上目遣いでトニーににじり寄るペッパー。こうするとトニーが堕ちることはお見通しだ。
だが、思いのほかトニーは折れなかった。
「ダメだ。到着した時の君の驚く顔が見たいんだ」
(おかしいわ…。いつもなら…これで陥落するのに…。しょうがないわね…。こうなったら…。)
ジャケットとヒールを脱ぎ捨てたペッパーは、立ち上がりトニーの頭を抱き寄せた。
「ねえ…トニー…。お願い…」
ペッパーの胸に顔を押し付けられたトニーは、くぐもった声を出した。
「色仕掛けか?悪いオンナだな…。仕方ない。君が…」
何か言いかけたトニーだが、タイミング悪く、機長の声がアナウンスされた。
『間もなく離陸致します』

「残念。終わりだ」
ペッパーの腰を持ち身体を離したトニーは、わざとらしいくらいに残念そうな顔をして座り直すと、ベルトを締めた。

*****
ベルトのサインが消えると同時に、ペッパーはトニーの膝の上に座った。
「さっきの続きよ。どうしたら、教えてくれる?」
トニーのジャケットを脱がしシャツのボタンを外しながらペッパーが耳元で囁くと、トニーは首元に唇を押し付けた。
「仕方ない…満足させてくれたらヒントをやるよ」
「了解、ボス…」
トニーの唇を奪ったペッパーは、膝の上から降りると、トニーのベルトに手をかけた…。

*****
「スターク様。夕食はいかがいたしましょう?」
ドアの向こうから聞こえた声に、トニーは慌てて自分の上で腰を振っているペッパーの口を手で塞ぐと
「30分後に頼む」
と叫んだ。

ペッパーの何か訴えるような視線を受けたトニーは、口元を緩ませた。
「シャワーを浴びないといけないから、あと15分だな。何だ?不満か?大丈夫。夕食の後に朝まで可愛がってやるから…」

5へ…

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