「ただいま」
帰宅後、玄関まで迎えに出てきた彼女にただいまのキスを落とす。
いつもなら…いや、失礼…時々ふざけて「ご飯にする?それとも私?」などと言ってくるのに、今日に限ってなぜかモジモジとエプロンを手で弄んでいる。
「トニー…あのね…あのね…」
「何だ?」
ネクタイを緩め、リビングに向かって歩く私の後ろを小走りに付いてくる彼女の次の言葉を待つも、「あのね」を繰り返すばかりで一向にその先が出てこない。
「『あのね』の続きを聞かせてくれないのか?」
ソファに腰をおろし、彼女を隣に座らせると手を握ると、なぜか顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。
私は何か変なことでもしたか?いや、昨夜は別に「普通」だったが…。
思わず昨日の夜のことを思い出してしまい、一人ニヤニヤしていると…
「…何変なこと考えてるのよ…」
と白い目を向ける彼女。
「!い、いや、何でもない!そ、それより君の方こそ…早く言ってくれよ」
慌てて話を元に戻すと、彼女は真っ赤になりながら小声でつぶやいた。
「…できたの…」
「は?」
声が小さすぎて聞こえなかったが、何ができただって?
「おい、もう少し大きい声…」
「だから、赤ちゃんができたの!2ヶ月だって!」
赤ちゃん?2ヶ月?ということは…
「Yeahhhh!!!!!!」
思わず力一杯抱きしめると、彼女は私の腕の中で目を白黒させながら「く、苦しい…」とつぶやいた。
慌てて彼女を解放し、顔中にキスの雨をおとす。
「ペッパー!君はやはり最高の女性だ!この私に家族を与えてくれるんだからな!よし!そうと決まったら早速準備だ!子ども部屋を作らないと…明日からリフォーム開始だ!ベビーベッドも用意しないと…それから…」
「ちょっと…トニーったら…まだ気が早いわよ…」
彼女を抱きしめ踊りださんばかりの私の様子に苦笑しながらも、目に涙を浮かべ微笑む彼女の顔はすでに母親の顔だった。
涙を指で拭いキスをすると、彼女は満面の笑顔で私に抱きついてきた。
ありがとう、ペッパー…。
***
子供出来たら踊りだしそうなイメージなのは、中の人の影響です