All my treasures③~Birthday~

初めての誕生日ということもあり、盛大なパーティーでカワイイ娘を見せびらかせたいトニーと、家族だけで祝いたいペッパー。

「だから、そんなに盛大にしなくていいの!どうせあなた目当ての女性だらけになるわよ!」
「そんなの放っておけ。私は君しか目に入らないから。せっかくの機会なんだ。カワイイ娘をお披露目しようじゃないか?」
「(私しかって…さりげなく言ってくれて嬉しいけど)。でも、こんなに小さいうちから人目にさらさなくてもいいわ。私はこの子を普通に育てたいの!」
「それは私も一緒だ!」

(どうやらパパとママはあたしのことでケンカしてるみたい…)
幼いながらトニーに似て頭のいいエストは、両親の間の不穏な空気を読み取り、二人の顔を交互に見つめた。
(やだ、このままじゃパパとママは…。よし、ここはあたしが…)
と思ったかどうかは不明だが、エストの大きな目にみるみるうちに涙が溜まり、とうとう大きな声で泣き出した。

「うえ~ん!!!!!」

突然泣き出したエストにトニーとペッパーは大慌て。
「あら?エスト?どうしたの?」
「エスト、パパとママはケンカしてたんじゃないから大丈夫だよ…」
その言葉にピタっと泣き止むエスト。
泣き止んでよかったと胸をなでおろした両親を見たエストは、トニーがよくするようにニヤリと笑ったが、幸いなことに二人は気付いていなかった。

結局エストの誕生日はささやかながら友人を呼んでパーティーを開くことになったのだった。

そして誕生日当日の朝。
つい1時間ほど前までトニーに愛されていたペッパーは、ぐっすり眠っているトニーを起こさないようにベッドから抜け出し、エストの部屋に向かった。
いつもは起きると一人でお喋りして遊んでいるエストだが、この日はペッパーが部屋を覗いても静かだった。
「エスト、おはよう…?!エスト!」
小さな娘は真っ赤な顔をして寝ているではないか。額に手を当てると熱もある。
「大変!ジャーヴィス!トニーを起こして!」
今まで風邪ひとつひかず元気だったエストの初めての発熱。
体温計で熱を測ると39.0度。
そこへ、トニーが慌てて部屋へ転がり込んできた。
「ぺ、ペッパー!!エストは…大丈夫か?!」
「トニー!大変!熱があるの…」
「と、とにかく、医者を呼ぼう…」
トニーはかかりつけの医師に電話をかけ、すぐに来るよう頼んだ。

ペッパーが赤い顔をして眠る娘の額を濡れたタオルで冷やしていると、エストが目をこすりながら目を覚ました。
「エスト!トニー、起きたわよ」
ペッパーに呼ばれたトニーがベッドを覗き込むと、エストはニコニコしながら嬉しそうに
「ぱぁぱー。まぁまー」
と手足をばたつかせた。
「おい、熱があるのに元気だな」
「そ、そうね…」
初めての経験でよく分からない二人。
ペッパーがエストを抱き上げると、
「あーう、まんまー!まんまー!」
と朝ごはんを要求し始めた。

キッチンへ連れて行き、朝ごはんを食べさせると、朝から食欲旺盛な娘はお代わりを要求するほどよく食べる。
「朝からよく食うな…」
先ほどまでペッパーとの愛の行為を頑張っていたトニーは、さすがに寝不足。新聞を読みながら大きな欠伸をすると、眠気覚ましにコーヒーを飲んだ。
「本当に熱があるのか?」
苦笑いしていると、ジャーヴィスが医師が来たことを告げた。

「この時期のお子さんにはよくあるんですよ。食欲もあるしご機嫌なんで、暖かくして様子を見てください。もし熱が続くようでしたら、連絡してくださいね」
エストを診察した医師はそう言うと帰って行った。

ソファーに座り、積み木で遊ぶエストを見つめるトニーとペッパー。
「よかったわね、大したことなくて」
「あぁ、でもパーティーは中止だな」
「いいわよ…。ケーキもあるし…親子3人でお祝いしましょ?」
「そうだな…」

抱き合いキスをし始めた両親に気付いたエストは、積み木で遊ぶ手を止めて、にんまりと微笑んだのだった。

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