敵に囲まれたアイアンマン。
スターク社の技術がテロ組織に使われているという情報を掴み、組織を一掃するべくやってきたのだ。
組織の設備を次々と破壊し、襲ってくるテロリストを倒していくトニー。
その時、携帯の着信音が鳴り響いた。
『トニー様、ペッパー様から電話です』
「ジャーヴィス!今!忙しい!」
敵を殴りながら答えるトニー。設備は全部破壊したが、あと数人で組織自体を一掃できるため、トニーは必死だった。
『ですが、緊急の連絡とのことですが…』
緊急だと?!もしや、何か起こったのか?!飛んできた弾丸をよけながらトニーはジャーヴィスに言った。
「繋いでくれ!」
『トニー様、お繋ぎしました』
「もしもし。ペッパー、どうしたんだ?」
「トニー!大変!!エストが…」
「どうした!?怪我でもしたのか!」
「エストがね……歩いたのよ!」
「な、何だと?!ちょっと待て!すぐ片付けて帰る!」
しまった!かわいい娘の記念すべき第一歩に立ち会えなかった!すぐに帰ればまだ間に合うはずだ!
あっという間に敵を片付け、猛スピードで飛び去るアイアンマン。
「…あのー。まだ1人残ってるんですけど…」
ただ一人倒されなかった敵がアイアンマンに手を振るが、それどころではない。
聞いてもらえなかった敵は、すごすごと撤退していった。
全速力でLAまで戻ってきたトニー。
アーマーを脱ぐ時間すら惜しく、トニーはそのままエストの部屋に向かった。
「ぺ、ペッパー!!エスト!!帰ったぞ!」
「おかえりなさい、トニー。早かったわね。アーマーくらい脱いだら?」
汗びっしょりで息の上がった、見るからに急いで帰ってきたトニーに、ペッパーはクスッと笑った。
ペッパーと塗り絵をしていたエストは、アーマーを着たトニーを見ると
「あーあーまー!!」
と、きゃっきゃっと手を叩き喜んだ。
そして、机につかまり立ちをし、
「ぱぁぱ!」
と言いながら、1歩2歩とトニーに向かってヨタヨタと歩きだした。が、3歩目を踏み出そうとしたが、さすがにまだそこまでは歩けず、ペタンと座り込んでしまった。
「エスト!すごいじゃないか!さすがパパとママの娘だな!!」
エストを抱き上げ高い高いをすると、満面の笑みで喜びはしゃぐエストは
「あーあーま!」
とトニーの顔を小さな手で触った。
「ん?『あーあーまー』とは『アイアンマン』のことか?」
「そうみたいよ。さっきもこの塗り絵のアイアンマンのところを塗りながら『あーあーまー』ってずっと言ってたの。この子ったら、アイアンマンのところしか塗らないのよ。他にもいっぱいいるのにね」
おかしそうに笑うペッパーが差し出したのは、アベンジャーズの塗り絵。
エストを抱き直すと、ペッパーが差し出した塗り絵の冊子をめくった。
見るとアイアンマンはぐちゃぐちゃだが真っ赤に塗られていた。そして、その隣のキャプテン・アメリカは、ペッパーが塗ったのだろう…とてもキレイに塗られていた。
何でペッパーはキャプテンをこんなにキレイに塗ってるんだ…。
若干ガックリと肩を落としたトニーだが、娘に「ぱぁぱー」と呼ばれ、デレっと目じりを下げた。
「おい!ジャーヴィス!さっきの記念すべき第一歩と、アイア…」
『大丈夫です、トニー様。抜かりはございません』
そろそろトニー様にデーターベースの強化をして頂かないと…。エスト様の成長記録だけで、サーバーがパンクしそうです。
ジャーヴィスは楽しそうな親子三人を見つめながらため息をついた。
***
親ばかトニペパ