Lover of sister

あのNYでの闘いから二ヶ月経った5月29日。今日はトニーの41回目の誕生日。
主役であるトニーは恋人であるペッパーを連れて、スターク社主催の誕生日パーティーにやって来ていた。

「あ!お姉ちゃん!」
背中の大きく開いた黒のワンピースを着たペッパーは、名前を呼ばれ振り返った。
駆け寄って来たのは、ペッパーの妹である7歳年下の双子のミアとリリー。
「よく来たわね。待ってたのよ」
妹たちと抱き合ったペッパーは、ニコニコと笑った。
「何年ぶりかしら?」
大学進学と同時に家を飛び出しLAに来たペッパーは、家族と疎遠になっていたのだった。
「えっと…会うのは2年ぶりくらい?」
「ところで、今日は…」
彼女たちがこのパーティーへ来たのは偶然ではない。ペッパーが二人に招待状を出したのだ。
「えぇ、二人にね、紹介したい人がいるの」
こっちよ…と歩き出したペッパーについて行くと、そこには人だかりが出来ていた。
「トニー?」
愛おしそうに呼ぶペッパーの声に一人の男性が振り返った。人を掻き分けペッパーに近寄ってきたその男性は、彼女の頬に優しくキスをすると、横で直立不動になっている二人をじっと見つめた。
「ペッパー…。もしかして、彼女たちが?」
「えぇ、妹のミアとリリーよ」
二人がペッパーの妹と知ったトニーは、笑みを浮かべた。
「やっと会わせてもらえた。トニー・スタークだ」

ミアとリリーは、口をポカンと開けたままだ。
姉がトニー・スタークの秘書として働いていること、一時は彼に代わりCEOとして手腕を奮っていたこと、そしあのトニー・スタークと恋人になったこと…。 姉からのメールや電話で知ってはいたが、テレビや雑誌でしか見たことのない有名人が自分たちの目の前で笑っているのだ。…それもこのままいけば、将来義理 の兄になることはほぼ確定なのだから…。
固まったままの二人に、どうしたのか、まさか歓迎されていないのかと、トニーは顔を曇らせた。トニーの表情に気づいた二人は、我に返り頭を下げた。
「は、初めまして!お噂はかねがね…」
「スタークさん!お姉ちゃんのこと、よろしくお願いします!」
ペコペコと頭を下げ始めた二人に慌てたトニーは肩をポンと叩くと、いつもの笑みを浮かべた。
「スタークさんなんて、堅苦しい。トニーと呼んでくれ」

「どのくらいこっちにいるんだ?」
テーブルに着くや否やトニーは二人に尋ねた。
「予定では3日ほど…」
3日と聞いたトニーは顔を顰めた。
「3日?NYは3日じゃ回りきれないぞ?1週間くらいいたらどうだ?それに、2年ぶりに会ったんだろ?積もる話もあるだろうから、良ければ家へ来い」
ベラベラと喋ると、トニーはペッパーに顔を向けた。いつものことなのだろう。
「あら?いいの?」
と、ワインを口に運びながら尋ねるペッパーに
「あぁ。部屋ならいくらでもある」
と、ステーキにかぶりつきながら答えるトニー。
ミアとリリーは顔を見合わせた。姉のアパートメントは確かセントラルパークの近くのはず。泊めてもらおうと思っていたのだが、ワンルームで手狭だから…と 姉が自分の家から程近いホテルを手配してくれたのだ。それなのに、スタークさん…いや、お義兄さん…そう呼ぶのはまだ気が早いかしら……トニーさんの家に 泊まれとはどういうこと?と…。
「あのー、いいんですか?」
リリーに膝で突かれたミアが様子を伺うように聞くと、
「遠慮するな。ペッパーもその方が便利だろ?」
と、トニーは当然のように答えた。
(お姉ちゃんにとっても便利って……)
頭に盛大なクエスチョンマークを浮かべた妹たちに気づいたペッパーは、慌てて付け加えた。
「あ…言ってなかったわね。一緒に住んでるの。一応、パパとママの手前、こっちにも家は借りてるんだけどね…」
苦笑するペッパーと当然だろ?という顔をしているトニーを見つめたミアとリリーだが、手に持っていたナイフとフォークが盛大な音をたてて皿の上に落ちた。
「えー!!じゃ、じゃあ!同棲してるの!!!」
大声で叫んだリリーの口をミアが慌てて塞いだが、ペッパー以外の女性を2人も侍らせているのだから、会場中はとうの昔に聞き耳を立てていた。しかも、ト ニーがペッパーを常にそばに置いている…つまり一緒に住んでいるのは周知の事実。もっと大それたスキャンダルはないかと期待していたのに、今さらか…と、会場中はがっくりと肩を落としたのだった。
そんなことはいつものことなのだろう。気にする風でもなく、トニーはペッパーの手を取ると肩を抱き寄せた。
「決まりだな。早速荷物はうちに運ばせる。好きなだけ滞在してくれていいぞ?」

スタークタワーへ戻ってきた四人だが…。
「す、凄い家……」
リビングルームだけでも自分の家以上の広さのペントハウス。目を白黒させる二人を、ペッパーはゲストルームへ連れて行った。

「お姉ちゃん…分かっていたけど…トニーさんって凄い人なのね…」
「でも、安心した!お姉ちゃん、すごく大切にされてるって分かったから」
姉妹三人になると、ミアとリリーは一斉に話し始めた。
「ふふ…いいでしょ?彼はね、私のことをとても大事にしてくれるのよ」
ニコニコと笑っている姉はとても嬉しそうで、ミアとリリーはこんな幸せそうな姉を見たのは初めてだった。
しばらく姉妹で話していた三人だが、明日ショッピングに行く約束をすると、ペッパーは寝室へと戻って行った。

翌朝…。
「おはようございます…」
リビングへ向かった二人は、ソファーに座り新聞を読んでいるトニーに声を掛けた。
「あぁ、おはよう。よく眠れたか?」
「はい、それはもうぐっすり…」
確かにスターク邸のベッドは、その辺の高級ホテルよりも遥かに快適で、ミアもリリーも横になるなり爆睡してしまったのだ。
「今日は三人で買い物に行くんだろ?ペッパーはもうすぐ起きてくると思うが…」
ちらりと上を見上げたトニーは時計を見ると新聞を放り投げた。
「じゃあ、楽しんできてくれ。私は仕事があるから、付き合えないが…」
そう言うとトニーは階下へと降りて行った。

トニーの姿が見えなくなると、ミアがポツリと呟いた。
「ヤバイ…かっこいい…。あれは惚れるわ…」
その言葉を待っていたかのように、リリーが目を輝かせた。
「よね!昨日のタキシード姿もだけど、さっきのスーツ!カッコよすぎ!」
「どうしよう…お義兄さんになるのよね…」
「私!帰ったらみんなに自慢しなきゃ!」
「そうよ!一緒に写真撮ってもらいましょ?」
と、ひとしきりキャーキャーと騒いだ二人だが、肝心のペッパーはなかなか姿を表さない。
「お姉ちゃん、遅いね…」
「早起きのお姉ちゃんにしては珍しいわね…」

予定の時間を30分ほど過ぎた頃。
「ごめんなさい…遅くなって…」
心なしか足元がふらついているペッパーが降りてきた。そしてその首筋には赤い印が無数に付けられているではないか。
子供ではないので、それを意味することを瞬時に理解した二人は顔を見合わせた。
(そういうことね…)
(お姉ちゃんたち、相当激しいのかしら…)
黙ったままの二人に、ペッパーは目をぱちくりさせた。
「どうしたの?」
真っ赤になった二人は慌てて首を振った。
「え?…な、なんでもない…」
「お姉ちゃん…大変ね…」
妹たちの言いたいことに気付いたペッパーは顔を赤らめた。
(もう!トニーったら…。誕生日プレゼントよって言ったけど、こうなることは分かってたでしょ!)

その夜、キッチンで後片付けをするペッパーを、ダイニングの椅子に座ったトニーはボーッと眺めていた。
昨晩は二人だけの誕生日パーティーと称して、ケーキの代わりにペッパーを堪能したトニーだったが、肝心のペッパーはいつも通り途中でダウン。消化不良なトニーは今宵どうやって続きを戴こうか…と考えていた。
「トニー?」
気がつくと片付け終わったペッパーが目の前にいた。
「どうした?」
腰に手を回し引き寄せ膝の上に座らせると、ペッパーはトニーの首筋に腕を回し甘えたように顔をすり寄せた。
「あのね…明日は抜けられない会議があるの。それでね…」
つまりは自分の代わりに妹たちの相手をして欲しいということだ。
お安い御用さ…と呟いたトニーは
「私は休みだから、任せておけ」
と言うと、ペッパーの首筋に赤い印を刻み始めた。
「と、トニー…今朝、あの子たちに気づかれたの…。だから…」
身をよじり抵抗するペッパーだが、シャツの下に潜り込んだトニーの手はブラジャーのホックを外し、背中に指を這わし始めた。
「いいだろ?仲がいいと思われて。それに昨日は途中で気絶してたじゃないか。プレゼントの続きを戴くぞ?」
ニヤリと笑ったトニーは、ペッパーが小さく頷いたのを確認すると、深く熱いキスをし始めた。キスに酔い甘い声を上げ始めたペッパーを抱き上げると、トニーは寝室へと向かった。

翌日、トニーを見るなり、顔を真っ赤にした二人だったが、
「どこか行きたい所はあるか?」
とトニーに聞かれると、口を揃えて『お勧めの場所』と言った。
お勧めの場所と言われたトニーだが、若い女性をどこに連れて行けばいいものか…と考えた挙句、いつもペッパーと行くショッピングストリートへ二人を連れて行くことにしたのだった。

ペッパー行きつけのショップへ向かう車中、ミアがおもむろに口を開いた。
「スタークさん……じゃなくて、えーっと…と、と、トニーさん…」
どうやら『トニー』と呼ぶのは遠慮があるらしい。好きに呼んでくれ…と言いかけたトニーだが、その前に意を決したようにリリーが叫んだ。
「『お兄さん』って呼んじゃダメですか?」
バックミラー越しに見ると、二人とも顔を真っ赤にしている。
(そう言えば…三人姉妹で男兄弟がいないから、彼女たちは私が義理の兄貴になることを喜んでいたと…)
ペッパーの話を思い出したトニーは笑みを浮かべた。
「いいさ。そのうち義理だが兄貴になるんだから。好きに呼んでくれ」
その言葉に二人は顔を輝かせた。
「じゃ、じゃあ…お兄ちゃん!」
ペッパーに似て美人でスタイルも抜群の二人。それに加えて声もどことなくペッパーに似ているのだから、トニーが嬉しくないわけがない。
(『お兄ちゃん』か…)
一人っ子のトニーはもちろん『兄』と呼ばれたことはなく、そう呼ばれるのは新鮮であると同時に照れ臭くもあった。そんな感情を隠すように咳払いしたトニーは、手を取り合って騒いでいる二人をバックミラー越しに見つめた。
「欲しい物、何でも言えよ」

翌朝…。新聞もテレビも、とあるネタを大スクープと言わんばかりに競って報道していた。

『トニー・スターク、謎の美女二人とデート!』
ド派手な効果音と共に流れ始めた映像は、あのトニー・スタークとその両脇に寄り添うまるでモデルのような年若い美女二人。

大スクープです!昨日、トニー・スタークが美女を引き連れ、ロバートソン通りに現れました!その美女は、スターク氏の恋人と言われるペッパー・ポッツでは ありません!年若い美女二人は、スターク氏の両脇に寄り添い、時折頬にキスをしています。何軒ものショップで買い物をした三人は、某ホテルへ消えていきま した。
―ペッパー・ポッツでは物足りなくなったということですか?
そう思われます。もう何度も三人で遊んでいるようです。一度に美女二人を相手にできるなんて、やはりトニー・スタークですね。一方で『お兄さん』と呼ばれていたという情報もあります。
―お兄さんというと…彼女たちはスターク氏の妹ですか?
はい。その情報が正しければ、兄と妹ということになりますね。
―ちょっと待ってください!スターク氏の父親であるハワード・スターク氏の隠し子ということですか?!
はい。兄妹となると…そう考えるのが妥当でしょう。スターク氏の父親であるハワード・スターク氏も、数々の浮名を流していましたから、その可能性はあると…。
―そうなると、スターク氏…えっと、トニーの方のスターク氏ではなくて、父親の方のスキャンダルということに…。
はい、ハワード・スターク氏の死後20年以上たちますが、まさかこのタイミングでこんなスキャンダルが出てくるとは、我々も思いもしませんでした。
―それにしても、仲がいいですねぇ。昨日今日分かった様子ではなさそうですねぇ…。トニー・スターク氏は、いつから妹の存在を知っていたんでしょうか?
はい。スターク氏が現れたら詳しく聞いてみます。以上、スターク・インダストリーズ前からお送りしました。

トニーは、かぶりつこうとしていたペッパーお手製のクロワッサンを思わず落としてしまった。いや、リリーとミアも…そしてペッパーもだ。
無言で顔を見合わせた四人だが、口をポカンと開けていたペッパーが隣に座るトニーの肩を揺さぶった。
「ど、どうするの?!お父様の隠し子騒動になってるわよ?!」
「放っておけ。親父はお袋一筋だったから調べても何も出てこない……はずだが…。いや、待てよ。お袋と出会う前はかなり遊んでいたようだから…」
「ま、まさか…このニュースを見て、姉や妹と名乗る女性が増えるかも…」
青くなったペッパーだが、トニーはフンっと鼻を鳴らした。
「おい、ペッパー。名乗るならとっくに現れてる。このニュースに便乗して…となると怪しいに決まってるだろ?」
「そうだけど…」
まだ不安気な顔をしているペッパーの頬にキスをしたトニーは、皿の上に転がっていたクロワッサンを千切ると口の中に放り込んだ。
それもそうよね…と、頷いたペッパーも、食べかけていたヨーグルトを口に運んだ。
怒涛の展開について行けてないのはミアとリリー。NYに来てもう何度目だろうか、顔を見合わせた二人は青ざめたまま頭を下げた。
「あ、あの…私たちのせいで…」
「本当にすみませんでした!」
涙声になった二人を不思議そうにみつめていたトニーにペッパーは目配せすると立ち上がり、妹たちの肩を軽く叩いた。
「あら?いつものことだから、大丈夫よ。気にしないで」
「これが普通だ」
澄まして言う姉と将来の義兄。そう、この二人にとってマスコミの過剰な報道な日常茶飯事。
(お姉ちゃんはとんでもない人のお嫁さんになるのね…)
と、二人は思ったとか思わないとか…。

「それより、今日はどうする?幸いにも週末だ。DCやボストンに行ってみるか?他にどこか行きたい所があれば…」
朝食を食べ終わったトニーが、口元を拭ったナプキンをテーブルの上に投げたその時、不運にもジャーヴィスの声が響き渡った。
『トニー様、スティーブ様からAssembleコールです』
やれやれ…と立ち上がったトニーは、ミアとリリーの方を向くと肩をすくめた。
「呼び出しだ。すまないが三人で楽しんで来てくれ」
ペッパーの元に歩み寄ったトニーは、身体を抱き寄せると唇を奪った。
「トニー、いってらっしゃい。気をつけて…」
泣き出しそうな姉の表情に、トニーが何をしに行くのか気づいた二人は、ラボに降りて行くトニーの後ろ姿に向かって手を振った。
「いってらっしゃい、お兄ちゃん!」

結局トニー抜きで遠出するのも…と思った三人は、NYの定番の観光地へ行き、タワー近くのバーで軽く飲み帰って来たのだった。

その夜遅く。リビングで映画を見ながら話をしていると、ガタッという音がし、屋上からトニーが姿を現した。
「おかえりなさい…お兄ちゃ…」
と、声を掛けようとしたミアとリリーだが、トニーの姿を見た途端、顔色を変え飛び出そうになった悲鳴を飲み込むように口元を押さえた。
足を引きずりながら近寄ってきたトニーの顔面は傷だらけで、額の傷からは血が流れ落ちている。
青ざめる二人を他所に、いつものことなのだろう、駆け寄ったペッパーはトニーを支えるようにソファーへ座らせた。
「トニー、大丈夫?」
用意してあった救急箱からいろいろ取り出しているペッパーに
「大したことない。大丈夫だ…」
と、トニーは微笑みかけた。
手際良く手当をしていくペッパー。時折痛みに顔を顰めるトニーを安心させるように手を握るペッパーの姿は、彼への愛に溢れており、初めて見る姉の表情にミアとリリーはいつの間にか見惚れていた。

「はい、出来たわよ」
額にバンドエイドを貼ったペッパーは、トニーに鎮痛剤を渡した。
顔中傷だらけで痛々しいトニーに、リリーが思わず声を掛けた。
「お兄ちゃん…大丈夫なの?」
ペッパーにとっては見慣れた光景…とは言っても、毎回のように怪我をして帰ってくるトニーを見るのは本当は嫌なのだが…。泣き出しそうになっている義妹たちを見たトニーは、安心させるように笑った。
「大丈夫だ。これくらいはいつものことだ。心配させてすまない」

「トニー、もう休みましょ?」
一日中アーマーを着て戦っていたのだ。疲労感の濃いトニーに気付いたペッパーは、彼を支えるように立ち上がった。
支え合いながら寝室へと消えていく二人の姿を見つめながらミアがポツリと呟いた。
「世界を救うヒーローってかっこいいけど、やっぱり大変ね…」

翌朝。早いもので、ミアとリリーは今日帰らなくてはならない。
二人を空港へ見送りに来たトニーとペッパーだが、ペッパーは二人に持たせるお土産を買いにどこかへ行ってしまった。

「もう少しいたらどうだ?」
と、名残惜しそうに言うトニーに、ミアとリリーも残念そうだ。
「私たちもそうしたいんですけど、仕事もあるし…」
口を尖らせた二人を優しく見つめたトニーは、肩を軽く叩いた。
「そうか。だが、君たちが好きな時にいつでも来てくれ。今度はマリブの家に来るといい」
「はい!いろいろありがとうございました!」
顔を輝かせぴょこんと頭を下げた二人だが、ペッパーが近くにいないことを確認すると、姿勢を正した。
「お兄ちゃん…いえ、トニーさん。姉のこと、よろしくお願いします」
「姉は強がっているけど、ああ見えて…」
その先は言われなくても分かっている。
なぜなら、彼女のことは誰よりも分かっているつもりなのだから…。
サングラスを外したトニーは、二人をじっと見つめた。
「あぁ。ペッパーのことは分かってるよ。私も付き合いが長いんでね。君たちのお姉さんは素晴らしい女性だ。彼女のことは任せてくれ。絶対に幸せにしてみせる」
トニーの真剣な眼差しと言葉に、ミアとリリーは安心したように息を吐いた。
「よかった…。私たち、ここに来る前はちょっぴり不安だったんです。でも、トニーさんと話をして分かったんです。トニーさんは姉のことを心から愛してくれている…。ありのままの姉を受け止めてくれているって。ありがとうございます」
その笑顔はペッパーそっくりで、トニーは眩しそうに目を細めた。
「お礼を言うのは私の方だ。君たちに会えて良かった」
抱きついてきた二人を受け止めたトニーは、背中を軽く叩くと身体を離した。
そこへいくつもの紙袋を下げたペッパーが戻って来た。
「お待たせ。どうしたの、三人とも?嬉しそうよ」
顔を見合わせた三人は
「秘密の話だ」
と、首をかしげるペッパーに向かってニヤリと笑ったのだった。

「気を付けてね」
「今度はプラーベートジェットで迎えに行かせるから」
手を振りながらゲートに向かうミアとリリーは、思い出したようにトニーに向かって言った。
「あ、トニーさん。私たちは味方ですから!」
「頑張って下さいね!」
(頑張って…とは…どういうことだ?)
首を傾げたトニーだが、二人はすでにゲートをくぐり、姿を消していた。

その真意をトニーが知るのは、また別のお話…。

トニーはペッパーの妹には受けはいいと思いますが…。「頑張って」の真意の話は「As many times as needed」へ…。

最初にいいねと言ってみませんか?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。