今年の誕生日は2人で祝いたい…。そう思っていたトニーなのに…。
「44回目の誕生日なのよ!ゾロ目よ、ゾロ目!盛大にお祝いしなきゃ!!」
また1つ年をとったのだ。そんなことを大声で言われてもちっとも嬉しくない。何とか難癖を付けてパーティーを中止にしようとしたトニーだが、
「何言ってるのよ!あれだけパーティー三昧だったのに、何で今さら嫌がるのよ!」
とペッパーに一喝されると口を閉じた。
結局ペッパーに逆らえるはずもなく、トニーは渋々頷いたのだった。
そして5月29日。
ペッパーの用意してくれたタキシードに着替えたトニーは、リビングでペッパーを待っていた。
迎えのハッピーはとっくに待機しており、後はペッパーを待つばかりなのだが、予定時間を過ぎても降りてくる気配はない。いい加減急かしに行くかとトニーが腰を上げると、タイミングよくペッパーの声がした。
「トニー、ごめんなさい。遅くなって…」
階段を降りて来たペッパーの姿にトニーは目を見開いた。ペッパーはとても美しかった…いや、元々抜群のスタイルの彼女なのだから、何を着ても似合うのだが、今日の彼女は美しさにさらに磨きがかかっていた。
ポカンと口を開けて立ちすくんだままのトニーに、ペッパーは気に入らないのかと不安になった。
「新作のドレスなんだけど…変かしら?」
変も何も…。今宵のペッパーのドレスは正直目のやり場に困るほど凄かった。白のタイトなデザインのドレスは、まるでウェディングドレスのように裾が大きく 広がっている。だが問題はそこではなかった。背後はウエスト部分まで大きく開き、胸元は柔らかな胸を隠すように大きなリボンが付いているのだが、括れた腰は丸見えだ。そして大きくスリットが入り露わになっているのは太腿だけではない。そのスリットはウエスト付近にまで広がっており、角度によってはオーガンジー越しにだが、ヒップがくっきりと見えているではないか。
「おい、まさか…」
顔色を変えたトニーの様子で彼が何を言いたいのか分かったのだろう。
「えぇ、下着は付けてないわ。だって、ラインが見えたらおかしいでしょ?」
あっけらかんと答えるペッパーにトニーは卒倒しそうになった。
なぜペッパーはこんなに露出度の高い…いや、もはや裸同然のドレスを選んだのだと。誰がこんなドレスを彼女に勧めたのだと。なぜ私の誕生日パーティーにノーパンドレスなんだと。彼女のノーパン姿は私だけのものだと…。
赤くなったり青くなったりしているトニーの頭はパンク寸前。
「と、トニー?!」
様子のおかしいトニーに、さすがにペッパーも気づくと慌て始めた。
こんな格好でパーティーに出席すれば、自分以外のオトコたちの餌食になることは目に見えている。どうにかして阻止しなければ…と、トニーは逆上せ上がった頭で必死で考えた。だが、脳内に思い浮かぶのは、ノーパンドレスどころか、何も身につけていないペッパーの姿だけ。
(トニー・スターク!落ち着け…落ち着け…)
頭に血が上りすぎたのだろうか、心臓は激しく鼓動を打ち始め、頭がクラクラしてきた。必死で冷静さを取り戻そうとするトニーだが、無駄だった。
バターン!!
「と、トニー?!」
鼻血を出してその場に卒倒したトニーの元にペッパーは慌てて駆け寄った。
主役が失神してしまったのだ。結局盛大に行われるはずのトニー・スタークの44回目の誕生日パーティーは未遂に終わったのだった。
その後、ペッパーの手厚い介抱のおかげで復活したトニーは、彼の当初の思惑通りと言うべきか、二人きりの熱い夜を過ごしたのだった。
Happy Birthday Tony!
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結果オーライですが、去年に引き続きあまりついていない社長でごめんなさい