Pepperony Week 2014 Day1:Injury/Hurt

「無茶をしたと思っているだろ?」
黙ったままのペッパーを上目遣いに見上げると、トニーは恐る恐る口を開いた。
(知っているぞ。君がその態度をする時は、とても怒っているということを…)
だが、そんなことを口に出すほどトニーも馬鹿ではない。いや、正確にはペッパーと言い争うほどの気力が残っていないというところだろうか。
両手両足をギブスで固定されたトニーは、枕に顔を埋めた。ベッドサイドの椅子に腰掛けたペッパーは、相変わらず黙ったままリンゴを剥いでいる。
悪いのは自分だと分かっている。危険な作業…すなわち、爆発の危険性がある開発は家では行わないと約束していた。だが、こっそりと行っていたラボでの実験中に起こった爆発。トニーは部屋の隅から隅へ吹き飛ばされた挙句、ありとあらゆる物が身体の上に積み重なり、この様だ。
約束を守らなかったのは自分だ。すなわち、今回の怪我は自業自得。しかも、一歩間違えれば死んでいたかもしれないのだ。
(だから余計に怒っているんだよな…)
彼女の真っ赤になった目が全てを物語っている。おそらく手術の間、そして意識不明の間ずっと泣いていたのだろう。もう二度と会えないかもしれないという恐怖と、彼女は必死に戦っていたのだろう。
結局のところ、いつも心配させてばかりだ。泣かせてばかりではないか…。

チラリと横目で確認すると、リンゴを剥き終わったペッパーは、ふぅ…と小さく息を吐いた。そのタイミングを見計らうように、トニーは口を開いた。
「…すまなかった…。もう二度としない…」
伏せていた視線を上げたペッパーだが、トニーの方を見ようともしない。何とか振り向かせようと、トニーは必死に喋り続けた。
「私が悪かった。君との約束を破ったばかりか、こんなことになってしまった。あのまま死んでいてもおかしくなかった。だが、生き残った。運がいいんだな、私は。いや、運がいいのは、きっと君がいてくれるからだ。君は私にとって幸運の女神だからな」
と、言ってみたものの、ペッパーの冷ややかな視線に気付いたトニーは口を閉じた。手に持っていたフォークをリンゴに思いっきり突き刺したペッパーは、無言でトニーに差し出した。
「えっ…と…」
どういうことかと戸惑うトニーに、ペッパーは立ち上がった。
「もう二度としないで!あなたに死なれたら困るの!私にはあなたしかいないの!もしあのまま死んでたら、私はどうすればいいのよ!」
叫ぶように言ったペッパーの目からは大粒の涙が零れ落ちた。それでも口をへの字に曲げ、必死で涙を堪えたペッパーは、何か言おうとしているトニーにリンゴを突きつけた。
「分かったら、このリンゴを食べなさい!」
何度も頷いたトニーが口を開けると、ペッパーはリンゴを押し込んだのだった。

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