You’re my Angel(ハワード×トニー)

マリアが熱を出した。

「ごめんなさい…」
ベッドの中でなぜか謝る妻に私は顔をしかめた。
「なぜ謝るんだ?疲れているんだ。ゆっくり休め」
汗ばんだ額を拭うと、妻は安心したように目を閉じた。

「トニー。ママは風邪を引いたんだ。今日はパパと一緒だ」
ベビーベッドから抱き上げると、トニーは「だぁ」と返事をした。…いや、返事ではないのかもしれないが、私の息子は天才なんだ!きっと返事だ!

それはさておき、3か月になったトニーはよく泣くようになった。とにかく母親が大好きなトニーは、マリアの姿が見えなくなると泣いた。四六時中トニーの世話をしているマリアは、私を起こさないように夜泣きをするトニーを連れて、毎晩のようにバルコニーに出ていたのだが、9月になり少し肌寒くなり始めたNYの夜は思いのほか寒かったらしい。そのため風邪をひいてしまったのだが…。

ゲストルームへ向かった私は、ベッドの上にトニーを寝かせた。
「いいか。今日はここで寝るんだ。分かったな?」
眠たくなったのか、指をしゃぶりだしたトニーだが、きょろきょろと辺りを見始めた。
(まずい。これはマリアを探している…)
案の定、トニーの大きな目に涙が溜まり始めた。
「ふぇ…」
あと3秒で泣き始める…。何か気を紛らわす物は…と、とある人形を手に取った。
「トニー!ほら!お前の好きなキャプテン・アメリカの人形だ!今日はキャプテンとキャプテンの友人だったパパがそばにいるぞ!」
人形を必死で振ると、トニーは手足をばたつかせ笑顔を浮かべた。
キャプテンを抱きしめさせると、トニーは人形の持っているシールドをしゃぶり始めた。

そうだ。スティーブが今、この光景を見たら何と言うだろう。
あいつも生きていたら息子か娘がいただろう…。

「スティーブ…」
思わず口から出た旧友の名前。私の声の変化を感じ取ったのだろうか、気付くとトニーが心配そうな顔で見つめていた。
「大丈夫だ。さぁ、トニー、もう寝よう」
小さな身体を抱きしめると、トニーは小さなあくびを一つした。
「そうだ、もう少し大きくなったら、お前にキャプテンの話をしてやるからな」
天使のような寝顔を突くと、息子はすぐに寝息を立て始めた。

2 人がいいねと言っています。

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