今日はスターク・インダストリーズのパーティー。
早々にタキシードに着替えたトニーは、娘の用意を手伝っている妻の様子を見るために、娘の部屋へ向かった。
すると…。
「エスト、お願いだからこっちを履いて。そのお洋服にその靴は似合わないわ」
「いやよ!これがいいの!」
「でも、パパとママがあなたのために選んだのよ?」
「いや!えすと、これがいいの!」
妻と娘が諍う声が聞こえ、トニーは部屋を覗き込んだ。
鏡の前では、ペッパーが困った顔をして座り込んでいる。そしてそのそばには、膨れっ面をしたエスト。先日トニーとペッパーが選んだ花柄のワンピースを着たエストの足元は、あろうことか、赤とゴールドのスニーカー。
「どうしたんだ?」
トニーに気付いたエストは、援軍が来たとばかりに顔を輝かせた。
「パパ!あのね、えすとね、パパとおなじがいいの!」
足元を指さし主張する娘。確かにエストの履いているスニーカーは、アーマーをモチーフにデザインした特注品。トニーとペッパーとエストとお揃いで作ったものであり、エストの一番のお気に入り。
「あなたと同じ靴がいいんですって。でもね、エスト。パパは今日は違うお靴を履いてるわよ?それじゃあお揃いにならないわよ?」
苦笑する母親と父親を交互に眺めていたエストだが、トニーがスニーカーではなく革靴を履いていることに気付くと、すごすごと靴を脱ぎ始めたが、ペッパーが 差し出したかわいらしいサンダルには見向きもしない。
「困ったわね。エスト、靴を履かないで行く気?おかしいわよ?」
頑固なんだから…とため息を付いた妻の横に座ったトニーは、俯いたままのエストの手を握った。
「なぁ、パパのかわいいお姫様?今日はパーティーなんだ。エストもシンデレラみたいにおめかししてパパと踊るんだろ?」
柔らかな頬にキスをすると、娘は顔を輝かせた。
「うん!えすとね、パパとおどるのよ!」
ペッパーの手から靴を奪い取ったエストは、あっという間に靴を履くと嬉しそうにトニーの手を握りしめたのだった。