Secret

「なぁ、トニー。お前、ペッパーのことが好きなんだろ?」
突然のローディの発言に、トニーは飲みかけていたコーヒーを吹き出した。
「なっ!お、おい!何を…」
慌てて飛び散ったコーヒーを拭くトニーだが、その顔は真っ赤に染まっている。
「素直になれよ、トニー。みんな気づいてるんだぞ?」
ニヤニヤと笑みを浮かべるローディだが、トニーはムスっと口をつぐんでしまった。
「それに、彼女もお前のこと…」
「ローディ。そこまでだ」
何を照れているんだ…と言いかけたローディは、言葉を飲み込んだ。トニーはいつになく真剣な顔をしており、そしてその瞳には深い悲しみが浮かんでいた。
「知ってるさ。ずっと前から知ってる…。だが、今はダメだ。ダメなんだ…」

ペッパーにもローディにも言っていない。ジャーヴィスだけが知っている秘密。
私は長く生きられない。もうすぐ死ぬ。
私の命を守るはずの胸のリアクターが、命を奪おうとしている。
苦しみしかない世界に…大切な彼女は連れて行けない。
悲しむ顔を見るよりも、何も知らなくてもいい。ただ、そばにいて笑ってくれていればいいんだ。

一瞬潤んだその瞳から何か感じ取ったのだろう。だが、ローディは何も聞かなかった。いつかトニー自身が自ら話すまで聞かないつもりだった。
「そうか…。でも、トニー。お前も幸せになる権利はあるんだぞ?だから…いつの日か…」
そう、彼は幸せにならなければならない。人一倍脆いくせに、人一倍虚栄を張って生きている。そんな彼を全て受け止め愛してくれる存在…彼のすぐそばにいる存在と幸せになるべきなんだ…。

「あぁ、ありがとう」
肩に置かれた手にそっと触れると、トニーは笑みを浮かべた。

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