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Kiss the Teacher~卒業編7

正門前での告白の後、拍手喝采で大盛り上がりの中を逃げ出した二人は、ペッパーの家へ向かった。
突然現れたトニーに驚くペッパーの両親の前で、トニーは頭を下げた。
ペッパーとは結婚を前提にずっと付き合っていたこと、彼女が卒業したのを機に結婚したいこと、そして妊娠していること…。
今まで隠していたことを謝罪しつつも、ペッパーのことを愛していること、これから一生守ると言うトニーの力強い言葉に、ペッパーの父親はトニーを一発殴った後で、娘を頼むと抱きついた。

隠していたつもりでも、薄々気付いていたようで、二人ともトニーをすっかり気に入り、泊まって行くように引き止めた。だが、仕事のため今日中に帰らないといけないトニーは、せめて夕食だけでも…と、食卓をともにした。
夕食時も、もっぱら二人の話題となり、二人は根掘り葉掘りいろいろ聞かれ、そのたびにペッパーは赤面した。トニーもペッパーの両親の温かさに触れ、久しぶりにリラックスした時間を過ごすことができた。
そしてトニーは、3週間後にまた迎えにくると言い残し、LAへ帰って行った。

***

「ねぇ、ママ…気付いてたの?」
キッチンで片付けをしていたペッパーは、隣で洗い物をしている母親に尋ねた。
「えぇ…。誰かいい人がいるのはだいぶ前に気付いていたけど…。相手がスターク先生かしら…って思ったのは、あの時よ。ほら、あなた、テレビを見ながら泣いていたでしょ?」
ニヤニヤする母親にペッパーは口を尖らせた。
(やっぱりママにはかなわないな…)
真っ赤になって布巾を捏ねくりまわしているペッパーに、母親は苦笑した。
「それにしても、大丈夫なの?ママ、心配だわ…。あなたがちゃんとトニーのことを支えてあげられるか…。心配だから、ママも一緒に行こうかしら…」
「え⁈」
母親の発言に思わず大きな声を出したペッパー。
「だって、トニー、カッコいいじゃない。ママが若かったら…」
ママったら何考えてるの⁈
慌てたペッパーは、母親の言葉を遮るように叫んだ。
「ダメ!トニーは私の旦那様なの!ママにはパパがいるでしょ!」
慌てふためく娘に母親は吹き出した。
「冗談よ。もう、本気にして…。でも、スターク先生はね、ママたちの間でも大人気だったのよ。だから、ママは鼻が高いわ。だって、あのスターク先生が、私の息子になるんだもの!」

そうなの?トニーったら、ママたちの間でも人気だったの?どうしよう…。分かってはいたけど…彼ってモテる…。きっとこれから先も…。

青くなったペッパーを見た母親は、少し脅かしすぎたかしら…と思いつつ、娘の頭を軽く叩いた。
「大丈夫よ、ヴァージニア。彼はあなたのことしか見えてないから…」
一人で慌てていたのが恥ずかしくなったペッパーは、話題を変えようと父親の姿を探したが、リビングには姿が見えないことに気付いた。
「ねえ、パパは?」
ペッパーの言葉に母親はため息をついた。
「パパ?やっぱりショックだったみたいよ。大事なあなたが急にお嫁に行くって言い出して…。しかも孫までできるんだから…。いろんなことが一度に押し寄せて、パパも寂しいのよ…」

父親はバルコニーにいた。
「パパ?」
寂しそうなその背中にそっと声をかけると、父親はにっこりと笑いながら振り返った。
「ヴァージニアか…」
父親の隣に並んだペッパーは、手摺に置かれた父親の手をそっと握った。
「パパ…ごめんなさい。黙っててごめんなさい…。でも、私…」
「お前も言いたくても言えなかったんだろ?パパたちこそ、気付いてやれなくてすまなかったな…」
「ううん…。でも、ありがとう。彼のこと許してくれてありがとう、パパ…」
「お前が選んだ男だし、ずっとお前とのことを考えてくれていたんだろ?順番がめちゃくちゃだが…」
苦笑した父親は、ペッパーの頭をくしゃっと撫でた。
「ところで、大学はどうするんだ?」
「そのことなんだけど…。大学には行きたい。もっと勉強したいって気持ちはあるの。でも…今はね、彼のこと支えてあげたいの。すごく大変な時期だから…。それが私の仕事よ。それに、赤ちゃんも産まれるし…。でも、いつかは行きたいわ…」
「そうか。寂しくなるな…。元気なお前がいなくなるのは…」
「うん…」
ペッパーの肩を抱き寄せた父親の声は、寂しさに溢れていた。父親に抱きついたペッパーは、目に浮かんだ涙をそっと拭った。
(パパとママの娘でよかった…。私ね、パパとママみたいな夫婦になるから…)

***

一方のトニーは、ペッパーを迎え入れるべく、早速家の改装を始めた。何しろ、住み始めてから何も手を付けていなかったのだ。以前、ペッパーが語っていた理想の家を思い出しながら、仕事の合間をぬってトニーは楽しそうに業者と打ち合わせを行っていた。LAへ来て以来、トニーの笑顔を見ていなかった社員たちは、嬉しそうなトニーの様子を目を細めて見守った。

そしてもう一つ…。トニーが以前より行いたかったこと…。それは自分専用のラボを作ること。
幸いにも仕事がひと段落したため、早めに退社できるようになったトニーは、帰宅後その作業に没頭していった。

***

そして3週間後。
迎えに来たトニーと共に、ペッパーはLAへ向かった。
助手席に座ったペッパーの膝の上には、あのミッ○ーのぬいぐるみ。
「ねぇ、ミ○ーは?私があなたの家に行った時は、いなかったから…」
「あぁ、あれか…。留守番させている…」
なぜか言葉を詰まらせ赤くなったトニーをペッパーは不思議そうな顔をして見つめた。
数時間後、マリブにある一軒の家に車は停車した。

「素敵なお家!」
嬉しそうに家の中を見て回るペッパーに、英国訛りの男性の声が聞こえてきた。
『初めまして、ペッパー様。ジャーヴィスと申します。何なりとお申し付け下さい』
「え?」
どこからともなく聞こえる声に、ペッパーは目を丸くして辺りを見回した。
「ジャーヴィスだ。この家の管理をしてくれる、言ってみればスターク家の電脳執事だ」
「す、すごい…トニーが作ったの?」
「あぁ、以前からやりたかったんだが、やっと実行できたんだ。それよりこっちに来いよ」
まだ驚いているペッパーの手を引いて、トニーはバルコニーに出た。
「わー!すごい!海が見えるのね!」
「LAへ二人で来た時に言っていただろ?こんな海が見える所に住みたいって…」
はしゃぐペッパーの横顔をトニーはじっと見つめた。オーシャンブルーの瞳は目の前の海と同じくキラキラと輝き、その煌めきはトニーに安らぎをもたらしてくれる。トニーに見つめられているのに気づいたペッパーが、恥ずかしそうに振り返った。
「覚えていてくれてたの?」
「当たり前だ。俺を誰だと思っているんだ?」
頬にキスを落としたトニーは、ペッパーの手を握ると別の部屋に歩き出した。
二階への階段を登りながら、トニーは部屋の説明をしていった。
「二階は寝室や衣装部屋だ。あとは、子供部屋もあるが…内装はまだなんだ。二人でゆっくり決めていこうな」
「うん!トニー、ありがとう。素敵なお家ね」
腕を絡ませたペッパーの頭にキスを落としたトニーは、寝室のドアを開けた。

寝室には、クイーンサイズの大きなダブルベッドが置かれており、その枕元にはミ○ーが座っていた。
「あいつだけ、連れて来たんだ。親父とお袋が死んでLAに戻る時に。君を置いていくような気がして…」
ベッドサイドに座ったトニーは、ミ○ーの頭を撫でた。
「君と離れていた時、こいつに随分助けられたよ…」
「?」
不思議そうな顔をしたペッパーだが、寝室の片隅に置かれた自分の荷物からミッ○ーを取り出すと、ミ○ーの隣に並べた。
「よかったね。ミッ○ーもやっとミ○ーに会えたわね」
「そうだな…」

トニーに手招きされたペッパーは、膝の上に座った。背中に腕を回し胸元に耳をつけると、トニーの鼓動はいつもより早くリズムを刻んでいた。
「ねぇ、ドキドキしてる?」
上目遣いに見上げると、トニーはニヤニヤしていた。
「あぁ、君をこうするのも久しぶりだからな…」
ペッパーをギュッと抱きしめたトニーは、そのままベッドに仰向けに横たわった。トニーのシャツの裾を握りしめたペッパーは、襟元から覗く胸元にキスをしながらつぶやいた。
「私もね…ドキドキしてる…」
ペッパーの背中を撫でていたトニーだが、くるりと身体の向きを変えると、ペッパーを組み敷いた。
「ペッパー…これからはずっと一緒だ…」
「うん…」

甘くとろけそうなキスを受けながら、ペッパーはトニーと出会ってからのことを考え始めたが、次第に何も考えられなくなり、トニーに与えられるものに溺れていった。

寝室が甘い空気に包まれる中、枕元に置かれたミッ○ーとミ○ーも、久しぶりの再会を喜ぶかのようにパタリと倒れた。

【END】

おまけ(R-18)
学園パロ。学園編は終わりです。おまけは、ペッパーの家へ行った時の合間のお話(R-18)です

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Kiss the Teacher~卒業編6

5月。旅立ちの日にふさわしく、空は青く晴れ渡っていた。

卒業式を終え皆喜びに溢れる中、ペッパーは何か思いつめたような表情で歩いていた。

まだ膨んでいないお腹にそっと手を当てる。
両親にも言えず、トニーもそばにいない。だれにも相談できないまま三ヶ月目に入ってしまった。こっそりと検診に行っているが、お腹はこれから大きくなるため、いつまでも隠し通せるはずもない。
妊娠していると分かったのは、彼のご両親が亡くなられたあの日。検査薬で調べたその足で彼に知らせに行ったけど、訃報を聞き動揺する彼には言えなかった。 その後、教師を辞めた彼とは会っていないけど、毎日のようにくれていた電話でも言えなかった。環境の激変した彼の負担になりたくなかった。もうすぐLAに引っ越す。そうすれば彼に会える。それまで一人で頑張るつもりだった。
でも今後のことを考えると、不安で胸が張り裂けそう。
トニーとのことは両親に話していない。私が大学へ進学するのをとても楽しみにしている両親に、妊娠したとは言えない。トニーのことを両親は許さないかもしれない。もしかしたら、堕ろせと言われるかもしれない…。でも、そんなつもりはない。愛する彼との子供。何があっても生むつもり。
テレビや雑誌で見る彼は、別の世界の人のようだった。最近忙しいのか、電話をかけても繋がらない。もしかしたら、LAで私よりも綺麗で大人の女性に出会って…私のことなんか忘れてしまったのかもしれない…。話せない分、どんどん悪い方向に考えてしまう…。
私とトニーの関係を唯一知っているバナー先生に相談しようと決めた。その矢先に倒れちゃったけど…。
先生は親身になって今後のことを一緒に考えてくれた。トニーに迷惑掛けたくないと泣く私を叱ってくれた。トニーは君のことを心から愛している。だから、心配しなくてもいい。彼なら必ず君のことを守ってくれる…。バナー先生は私を諭すように何度も話してくれた。

そう…トニーにきちんと言うべきよね。彼は、私がLAに行ったら一緒に暮らそう…私が大学を卒業してからでいいから結婚しようと言ってくれていた。でもあの時と状況は違う。彼は私の手の届かない世界に行ってしまった。今、私が彼の前に姿を現すと、彼に迷惑がかかる。生徒に手を出していたと、マスコミに叩かれるかもしれない…。もし私のせいで、彼が非難されるようなことになったら…私…。

そんなことを考えながら歩いていたペッパーの耳に、黄色い歓声が飛び込んできた。
「どうしたの?」
そばを走って通り過ぎようとしたクラスメイトに声をかけると、彼女は顔を高揚させて叫んだ。
「あ!ペッパー!それがね、スターク先生が来てるらしいのよ!校門の所にいるんだって!早く行きましょ!」

え…トニーが?

気がつくとペッパーは小走りに校門へ向かっていた。

門の外にはシルバーのアウディが止まっており、その側にはペッパーが会いたくてたまらなかったトニー・スタークが生徒に囲まれて笑っていた。
(トニー…)
久しぶりに見るトニーは少し痩せていた。前髪をあげ、高級そうなスーツに身を包み、サングラスをかけた彼は髭を生やし、すっかり変わっていた。
少し離れた所からトニーを見つめていたペッパーだが、生徒たちに囲まれ嬉しそうなトニーになかなか声を掛けられずにいた。

「先生、大変だったでしょ? お別れが言えなくてさみしかったのよ」
「俺もみんなにちゃんと挨拶できなかったから、気になっていたんだ」
「先生、来てくれてうれしい!よかった、先生にもありがとうってお礼が言えたもん!」
「でも、先生?どうしたの?」
「あぁ、大切な用事があって来たんだ…」

話しながらもペッパーの姿を探していたトニーが、離れた所にいるペッパーに気付いた。
「すまない。通してくれ…」
生徒たちの輪を掻き分け、ペッパーの方へ歩き出した。掛けていたサングラスを胸のポケットに突っ込んだトニー。外見は変わっていたが、彼の瞳は二人きりの時に見せてくれていたものと変わりなかった。

「ペッパー!」
ペッパーの方へ駆け寄ったトニーは、目に涙を浮かべ動けないペッパーを抱き寄せた。
「ペッパー、迎えに来た。迎えに来るのが遅くなってすまなかった。気付いてやれなくてすまなかった…。一人で苦しませてすまなかった…」
「トニー…」
一ヶ月ぶりに会うトニー。抱きしめてくれる力強い腕も、広くて大きな背中も何の変わりもなく、ペッパーはトニーのジャケットをギュッと掴むと、涙で濡れた顔を隠すように胸元に顔を埋めた。
抱きしめたペッパーの頭と背中を撫でていたトニーだが、身体を離すとペッパーの頬を撫でながら目をじっと見つめた。
「ペッパー、結婚しよう。もう俺たちの関係は隠さなくてもいいんだ…。君に側にいて欲しい。愛してるよ、ペッパー…」
「私も…愛してる…」

どちらともなく近づけた唇。久しぶりに味わう柔らかな口づけは、二人の胸に空いた穴をみるみるうちに埋めてくれた。

二人はいつまでも抱き合いキスをしていた。
生徒や保護者の歓声と拍手と悲鳴が聞こえる中で…。

7へ…

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Kiss the Teacher~卒業編5

もうすぐ卒業式。
この一週間トニーと連絡がつかず、ペッパーは不安な日々を過ごしていた。
以前なら着歴があると必ず折り返し電話を掛けてくれていたトニーだが、忙しいのかメールすらも返ってこなかった。
(忙しいのに…あまり掛けても悪いわよね…)

声を聞けば元気をもらえるのに…。
トニー…寂しいの…。不安でいっぱいなの…。卒業式が終わったら、会いに行ってもいいわよね…。

あと二日…あと二日頑張れば、トニーの顔が見られる。抱きしめてもらえる…。でも、私が今出て行ったら…彼のスキャンダルを探しているマスコミに嗅ぎつけられるかしら…。生徒と関係を持っていたと言われるかしら…。彼はきっと拒まないけど、彼の評判は落ちてしまう…。
それでも会いたい…。会って抱きしめてもらいたい…。不安でいっぱいなの…。もう一人じゃ頑張れない…。
そうよ。彼とのことを唯一知っているバナー先生に相談してみよう。話を聞いてもらえば、少しは楽になるかも…。
ペッパーは涙を拭うと、お腹にそっと手を当てながら学校へ向かって歩き始めた。

授業らしい授業もなく、教室では明後日の卒業式に向けての準備が行われていた。
クラスメイトが楽しそうに準備をする中で、ペッパーは机に座り青い顔をしていた。
(どうしよう…気持ち悪いし、お腹も痛い…。赤ちゃん、大丈夫かしら…)

「…さん…ポッツさん?」
気がつくと、ロマノフが机のそばに立っていた。
「大丈夫?顔色悪いわよ?保健室に行ってきたら?」
心配そうに顔を覗き込むロマノフに向かって、ペッパーは笑顔を向け、立ち上がろうとした。
「先生…。大丈夫です…」
だが、突然眩暈に襲われたペッパーは、その場で倒れてしまった。
「大変!ポッツさん!しっかりして!」
ロマノフやクラスメイト声を聞きながら、ペッパーは意識を手放した。

***

夕方になり、会議が終わり自室に戻ってきたトニー。この一週間は特に忙しく家に帰る暇すらなかった。仕事が片付くのも深夜。ペッパーから何度も連絡があったのは分かっていたが、さすがに深夜に電話するのも気が引け、メールを返そうにもその前に自分が意識を失っており、一週間も連絡していなかった。
さすがに心配しているだろう。不安に思っているだろう。まだ夕方だ。電話してみるか…。いや、仕事もひと段落したし、会いに行ってくるか…。
疲れ切った身体をソファーに横たえ、そんなことを考えていると、ドアをノックする音とともに秘書が入って来た。
「社長、この書類にサインをお願いします。それと、この後の○△社との夕食会ですが…」
「あぁ…そうだったな…」
この後、会食が入っていたのを忘れていた。また連絡できない…。
トニーが小さく舌打ちしたその時、携帯がけたたましく鳴り響いた。
画面を見ると、ブルースからだった。彼から電話がかかって来ることは滅多にない。
(もしや、ペッパーに何かあったのか?)
不安になったトニーは、まだ何か言おうとしている秘書の方を振り返った。
「少し待ってくれ…」

ソファーから立ち上がったトニーは、窓際に行き通話ボタンを押した。
「忙しいところ悪いな」
「どうした、ブルース。何かあったのか?」
ブルースの声はうわずんでおり、トニーは嫌な予感がした。
「落ち着いて聞けよ、トニー。彼女が…ポッツくんが倒れた」

ペッパーが…倒れた?

携帯を握りしめたまま何も言えないトニーに、ブルースは言葉を続けた。
「授業中に倒れたんだ。すぐに僕の所に連れて来られたんだが…。眠っている間、君の名前をずっと呼んでいたから、彼女に聞いたんだ。彼女、妊娠してるぞ?」

妊娠?

頭が真っ白になったトニーは、何も言えず黙ったまま。トニーの心中を察してか、ブルースの声は優しかった。
「彼女、言ってたぞ。お前の負担になりたくないって。今、自分が会いに行ったら、お前がマスコミの餌食になるのは目に見えてるって。妊娠していることを知らせたい、君との子供だから産みたい…。だけど、誰にも相談できず悩んでいる。どうするつもりなんだ?このまま放っておくのか?」
「放っておくわけないだろ!彼女は…ペッパーは…俺の大切な…」
ブルースの言葉に声を荒げたトニーだが、言葉に詰まってしまった。
「そうだろ。君はきっとそう言うと思った。だったら、早く迎えに来てやれ。卒業式は明後日だ…」
電話を切ったトニーに、秘書が声を掛けた。
「社長、二日後の会議の件ですが…」

大きく息を吸い込んだトニーは、秘書の方を振り返った。
「その会議、延期してくれ。忘れ物をしたんだ…。大事な忘れ物を取りに行ってくる」

6へ…

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