その頃、モーガンたちは目的地へと到着した。だが、辺り一面、建物の残骸があるだけだ。
「パパ!!ママ!!!」
大声で呼びかけたが、物音一つ聞こえない。何かに遮られているのか、生命反応も探知できない。
間に合わなかったのかと、モーガンは唇を噛み締めた。
と、その時だった。
『モーグーナ………』
どこからともなく父親の声が聞こえた。
「パパ…」
パパとママは、きっと何処かにいるはずだ。私のことを待っているはず…。
ピーターとローディは捜索の範囲を広げようと、建物の残骸から離れていった。
だが、追跡装置が示しているこの場所に両親は必ずいると、モーガンは信じていた。
「…もしかして……」
瓦礫の山に降り立ったモーガンは確信した。
(きっとパパとママはこの下にいる)
そう考えたモーガンは、瓦礫を退かし始めた。大きな瓦礫はリパルサーで吹き飛ばしたが、が、数が多く、なかなか全てを退かすことが出来ない。
こうしている間にも両親は苦しんでいるかもしれないのに、一向に減らない瓦礫の山に、涙が出てきた。
「早く…早くしないと!」
急げば急ぐほど、瓦礫は粉々になって散らばっている気がする。
「ローディおじさん!ピーターお兄ちゃん!」
モーガンが何度か叫ぶと、辺りを捜索していたローディとピーターが戻ってきた。
「きっとこの下よ!」
瓦礫を吹き飛ばしながら叫んだモーガンに、2人は大急ぎで加わった。3人だと作業も進み、あっという間に地面が見えた。すると、大きな鉄の板が見えてきたではないか。その鉄の板を動かすと、階段が現れた。急いで階段を降りると、溶接された鉄の扉が目の前に立ち塞がった。
「どけ!」
一言叫んだローディは、リパルサーを放った。
***
外から微かに音がする。
もしかしたらあいつらが戻ってきたのかもしれない。
起き上がったペッパーがトニーを守るように身体を伏せた瞬間、扉が吹き飛び誰かが入ってきた。
「ペッパー!」
聞き覚えのある声に顔を上げると、ウォーマシーンとスパイダーマンが姿を現した。
「ローディ!ピーター!」
助かった。助かったのだ。
安心したペッパーの目からは涙が次々と溢れ落ちた。
が、よく見ると彼らの後ろに誰かいるではないか。それは…。
「ママ!」
アーマーに身を包んだモーガンだった。
「モーガン!」
母親に駆け寄ったモーガンは抱きついた。
「ママ…無事でよかった」
泣き出したモーガンは、母親をギュッと抱きしめると、声を上げて泣き始めた。
「トニー!」
「スタークさん!!」
ペッパーをモーガンに任せたローディとピーターは、トニーの元に向かった。ローディはトニーをスキャンした。が、生命反応がない。つまりトニーは…。
「諦めてたまるか…」
トニーの身体をそっと抱き上げたローディは、立ち上がった。
「パパ……」
しゃくり上げながら、ローディが父親を運び出すのを見た、モーガンは小さく悲鳴を上げた。父親は血塗れだった。それに顔は青白く、まるで死人のようだった。
モーガンの脳裏に、11年前のあの時の父親……サノスとの戦いで、瀕死の重傷を負い、何週間も意識不明だった父親の姿が蘇った。当時はまだ4歳だったので、詳細は覚えていない。だが、父親を失うのではという恐怖だけは鮮明に覚えている。
(パパが……パパが死んじゃう…)
ガタガタ震え出した娘の背中をペッパーは優しく撫でた。
「早く逃げましょう」
ピーターが辺りを警戒しながら、2人を部屋から連れ出した。モーガンに支えられながらジェットに乗り込んだペッパーだが、彼女自身も限界だったので、その場で気を失ってしまった。