⑰139.マーキング

6月の晴れわたった空の元、卒業式が行われた。
LA一のホールを貸し切って行われる卒業式。もちろん、ハワードとマリアも出席しているわけだが…。
「おい、お袋!何だ、このカメラマンは!!」
式の前に会場前で待ち合わせていたトニーとペッパーは、大きなリムジンでハワードとマリアが現れたのはある程度予想していたが、その後からぞろぞろと出てきたカメラマン…しかもテレビ局のような本格的なビデオカメラとカメラが現れ、ひっくり返りそうになった。
「あら、大事な一人息子の卒業式なのよ?いいじゃないの!」
暴走する妻を止められなかったのだろう。マリアの後ろであのハワードが申し訳なさそうな顔をしているではないか。
唖然とするトニーとペッパーにマリアは声高々に笑った。
「ペッパーちゃんの卒業式の時は、映画の撮影会社に頼むから心配しないでね!」

国歌が流れ厳かに始まった式だったが、某有名テレビ番組の司会者がゲストスピーチをしたり、飛び入りで人気俳優が現れたりと、いつの間にか式は爆笑の渦に包まれていた。
そして、成績上位者や研究やスポーツで成果を上げた生徒に賞が授与されると、校長の挨拶に続き卒業生代表の挨拶。
代表はもちろん、飛び級までして3年間ずっと学年一位だったトニーだ。
トニーが壇上に上がると、生徒のみならず保護者からも黄色い声が上がり、マリアはジロリと周りを見回した。
「ちょっと!トニーにはこんなにかわいいお嫁さんがいるのよ!」
きぃっとハンカチを噛みしめるマリアをペッパーが宥めているうちに、当たり障りのないスピーチをしたトニーは、壇上を降りていた。

「さっきの子、MITに行くんだって!」
「凄いわね!」
「だって、あのスターク・インダストリーズの御曹司よ?さすがよね」
こそこそと聞こえてくるトニーの噂話に、マリアはご満悦だ。
「ふふ…さすがうちのトニーよね。よかったわ、ハワードに似て頭が良くて。でも、女好きなところは似なくてよかったわ」
「お、おい…マリア…」
さすがのハワードもこれ以上喋らせておくのは危険だと思ったのだろう。軽く睨みつけるとマリアは小さく舌を出した。

卒業証書授与も無事にすみ、校長の挨拶と共にタッセルが宙に舞うと、卒業式は終わった。

「おめでとうございます!」
会場を出てきたトニーは、たくさんの下級生…それもほとんどが女性だが…に囲まれた。
「ありがとう」
最後だからだろうか、一応笑顔で花束を受け取っていたトニーだが、少し離れたところで待っているペッパーを見つめると、小走りに駆け寄って来た。
「先輩、卒業おめでとうございます」
「ありがとう」
そっと差し出された花束を受け取ったトニーは、ペッパーの頬を撫でると唇を奪った。
「トニー…みんな見てるわ…」
顔中にキスを受けながら恥ずかしそうにするペッパーに、トニーは悪戯めいた笑みを浮かべた。
「俺は今日で卒業するんだぞ?だからマーキングしてるんだ。ヴァージニア・ポッツはトニー・スタークのものだ。手出しするなって…」
真っ赤になったペッパーに笑いかけたトニーは、再び唇を奪ったのだった。

二人の周りだけ時が止まったようにいつまでもキスをし続ける息子とその彼女を、少し離れたところからマリアはハワードと眺めていた。
「ねぇ、ハワード。あの子、変わったわね」
「あぁ、彼女のおかげだな…」
どちらかというと人に無関心だった息子の成長した姿に、マリアはそっと涙を拭ったのだった。

⑱017.刻み付けた快楽

高校生パロ。6月の卒業式。

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