⑬140.極上BODY

翌日、トニーはペッパーを連れて自宅へ向かった。すると玄関に入るなり、母親のマリアが飛び出して来た。
「ペッパーちゃん!よく来てくれたわね!」
息子には目もくれずペッパーに抱きついたマリアは、目を白黒させているペッパーの手を引っ張り、先ほどくぐったばかりの玄関へと向かった。
「ペッパーちゃん、お買い物に行きましょ?あ、トニーは適当にしときなさい」
こうなると母親は止められない。
「はいはい」
寝不足なのだから寝直すにはちょうどいい。トニーは二人を見送ると自室へと向かった。

マリアはペッパーを連れて某有名ブランドショップにやって来た。
見たこともない世界なのに、さらに自分たちだけのために貸し切りにされており、呆然としているペッパーにマリアは微笑みかけた。
「さあ、ペッパーちゃん。何でも欲しい物を言って頂戴!」
「お、お母様…」
オロオロするペッパーだが、マリアは本当に楽しそうだ。
「遠慮しないで?もう、トニーったら。早く結婚すればいいのに。そうしたら、あなたのことを堂々と娘と言えるのに!あ、これなんかどうかしら?着てみて!」
試着室に押し込まれたペッパーは、山のように押し付けられた洋服の中から一枚を選んだ。
ノースリーブのワンピースは、少し大人っぽいデザインだ。早速試着してみると、鏡の中には今までとは違う少し大人びた自分がいた。
半年前なら似合わなかったデザインだが、今のペッパーにはよく似合っており、試着室から出てきたペッパーにマリアは感嘆の声を上げた。
「まぁ!ステキよ!」
この間会った時よりも数段大人びたペッパーにマリアは目を細めた。
そういえば、胸も大きくなり、すっかり大人の女性の体形になっている。
(トニーったら、頑張ったのね?もっと頑張って、赤ちゃんが出来てもいいのに…)
不吉な笑みを浮かべたマリアは、ここぞとばかりにペッパーに次々と試着させていった。

大量の服や靴などを買い込んだ後、エステへ連れて行かれたペッパー。
あれよあれよといううちに、気が付けばタオル一枚でうつぶせになっていたペッパーは、隣で寝そべるマリアに声を掛けた。
「お母様、今日はありがとうございます。すごく楽しかったです」
「あら?いいのよ!私ね。こういうことをするのが夢だったんだから」
二人が話をしていると、エステシャンがやって来た。

「お嬢様はお肌が綺麗ですね?」
身体にオイルを塗りながらペッパーを褒めるエステシャンにマリアは声を上げた。
「あら?娘じゃないのよ。息子の彼女。でも、もうすぐお嫁さんになるから、娘になるんですけどね!」
「そうなんですか?スタイルも抜群ですし、お美しい方ですね」
「それは息子を褒めてやって!ペッパーちゃんは息子にとっても愛されてるの!」
エステ中に響き渡るほどの大きな声で言うマリアに、真っ赤になったペッパーは叫んだ。
「お、お母様!?」

(トニーはやっぱりお母様に似たのね…。このDNAは子供にも受け継がれるのかしら…)
ため息を付いたペッパーは、真っ赤になった顔を隠すようにタオルに顔を埋めた。

エステの次は、美容院とネイルサロン…。
目の回るような忙しさだったが、マリアは心から嬉しそうで、ペッパーは自分がいかに大切に思われているかを実感したのだった。
家に戻るとトニーの顔を見る暇もなく、マリアはペッパーを着飾り始めた。

一時間後。
タキシードに着替えたハワードとトニーは、女性陣を玄関で待っていた。
すると…
「トニー、見てあげて?」
マリアの声に振り返ると、階段から美しい女性が降りてきた。
「ペッパー?」
髪を巻きブルーのドレスを着たペッパーは別人のようだった。
口をポカンと開けたまま見とれている息子をハワードが小突いた。
我に返ったトニーは、モジモジとするペッパーの手を取ると、耳元で囁いた。
「綺麗だ…。見とれたよ」
嬉しそうな息子とその恋人を見つめていたハワードだったが、
「君がヴァージニアさんかい?」
と声を掛けた。

初めて会うトニーに似た年配の男性は、ニコニコと手を差し出した。
「ハワード・スタークだ。トニーの父親だ」
トニーの父親と知り、ペッパーは姿勢を正した。
「あ、はい!は、初めまして。ヴァージニアです。ご挨拶が遅くなって申し訳ありません…」
頭を下げるペッパーの肩を軽く叩いたハワードは、
「君のことは妻から聞いているんだよ。だから私も会うのが楽しみでね。マリアの言うとおりかわいらしいな。今日は楽しんでくれ」
と言うと、マリアの手を取り車に向かって歩き出した。

パーティー会場に着いた四人だが、トニーはハワードに、ペッパーはマリアに連れ回され、二人は離れ離れになってしまった。
だが、ペッパーにとっては知人もいない別世界。結局ポツンと壁の華になってしまい、一人でジュースを飲んだり料理を摘まんだりしていた。ふとトニーの方を見ると、彼は大勢の女性に囲まれ楽しそうに話をしているではないか。
(せっかくお洒落したのに…つまんないな…)
口を尖らせたペッパーは、寂しそうにトニーを見つめていた。すると、
「あら?トニーったら。また女の子に囲まれてるわ!全く!ペッパーちゃんがいながら…」
と言いながら、マリアが近づいてきた。せっかく連れてきてもらったのに、涙を見せてはいけないと思ったペッパーは、
「お母様、私、お手洗いに…」
と、会場の外に出た。

レストルームに行くと、入り口にはなぜかトニーがいた。
「あ、トニー」
パっと笑みを浮かべたペッパーは嬉しそうにトニーに駆け寄った。
「待ってたんだ、ハニー」
ニヤっと笑ったトニーはペッパーの手を引っ張ると、近くの物置に入った。
「トニー?!」
戸惑うペッパーだが、トニーはドアを閉めるなりキスをし始めた。
最初は触れる程度のキスだったが、段々と激しくそして情熱的なものになり、それと同時にトニーの手はペッパーの背中から尻を触り始めた。
湧き上がる快感にペッパーはもぞもぞと太腿をすり合わせ、キスの合間に甘い声を上げ始めた。
トニーに片足を巻き付けたペッパーは、潤んだ瞳で彼を見つめた。
ドレスの裾をたくし上げたトニーは、太腿を撫でると尻をぎゅっと掴んだ。飛び上がったペッパーだが、舌を絡めるようなキスをされると、濃厚なキスに頭がクラクラし始めた。

キスに酔い力の抜けたペッパーは、へなへなとトニーにもたれ掛った。
「おい、ペッパー?」
見るとペッパーは気絶しているではないか。
まさかキスだけで気絶するなんて…と思ったトニーだが、朝から母親に引っ張りまわされ疲れたのだろうと思い、額にキスをすると抱きかかえた。
逆上せたペッパーを抱きかかえたトニーは会場の出口へ向かった。

入口に向かうと、二人の姿が見えないと探し回るマリアがいた。
「あら、トニー、どこへ……ペッパーちゃん?!」
気を失っているペッパーに慌てたマリアは、すぐに車を手配し始めた。
「逆上せたみたいなんだ。もう帰るよ」
「そうね、帰りましょ?ハワードを呼んでくるわ」
程なくして正面へやって来た車に乗り込むと、トニーはペッパーに自分のジャケットを羽織らせた。

家へ帰るとトニーはペッパーを抱き上げ自分の部屋へと向かった。
「今日は休ませてあげなさいよ?」
母親のからかうような声とそれを咎める父親の声を聞きながら、誰のせいだよ…と、トニーはため息をついた。

だが、眠っているペッパーに手を出すことなどできるはずもなく、トニーはペッパーのドレスを脱がせバスローブを着せると、ギュっと抱きしめ横になったのだった。

結局、翌日以降も、日中は母親にペッパーを奪われ、夜になるとハワードがミュージカルやブロードウェイを見に行こうと張り切るため、結局二人きりになる時間はなかった。だが、ペッパーを本当の娘のように可愛がるハワードとマリアも、そしてペッパーも幸せそうで、トニーは彼女をNYに連れてきてよかったと 思ったのだった。

⑭115.契り

高校生パロ。4月のお話。ハワードとマリアが生きていたら、ペッパーのことを気に入ってたらいいなぁ…。

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