I love you 3000…Ⅱ㉗

ハッピーにモーガンを任せたトニーは病院へと急いだ。急ぎすぎて、信号をいくつか無視した気がするが、深夜のため何事もなく無事に到着することができた。

静まり返った病院の廊下を全力疾走したトニーは、ペッパーの病室のドアをそっと開けた。
「ハニー…」
トニーに気づいたペッパーは、夫に向かって手を伸ばすと微笑んだ。
「トニー、そろそ……痛っ!」
顔をしかめたペッパーに駆け寄ったトニーは、ベッドの右側に腰を下ろした。
「こっちなら、思いっきり握りしめてもいいぞ?」
そう言いながら差し出したのは右手の義手。
「もう…」
頬を膨らませたペッパーはトニーの手を握りしめた。
「こっちの腕は…」
そう言いながら左腕を肩に回したトニーは、ペッパーを抱き寄せた。トニーの温もりに包まれ、ペッパーはようやく気分が落ち着いた。

日付けが変わった頃には陣痛の間隔もかなり狭まり、分娩室へと移動したが、数時間経っても産まれる気配はない。
ペッパーはトニーの右手を握りしめ必死でいきんでおり、義手はミシミシ音を立てている。
そう言えば、モーガンが産まれた時は骨を折られるのでは…というくらい握りしめられ、アーマーを装着してくればよかったと思ったなぁ…と思い出したトニーだが、そんなことをこの雰囲気で口に出そうものなら、ペッパーに殺されると、口を噤んだ。
「もう!!嫌!!」
声を荒げたペッパーに、励ますことしかできないトニーは、もう何度言ったか分からない言葉を再び口に出した。
「ハニー、もうすぐだから…」
するとペッパーは鬼の形相でトニーを睨みつけた。
「もうすぐ?!さっきから何時間言ってるのよ!くそっ!さっさと産まれてよ!!」
モーガンにはとても聞かせられないような悪態を吐くペッパーは、トニーの右手を更に強く握った。このままだと本気で義手を破壊されそうだと、トニーは心の声を思わず口に出してしまった。
「おい、息子よ。頼むから早く出て来てくれ。このままでは、パパはママに殺される」
が、口に出してしまった言葉は、ちゃんとペッパーの耳にも入っていた訳で…。

「アンソニー・エドワード!!!!!!!」

目を三角にして金切り声を上げる妻に、しまった…と首を振ったトニーは、機嫌をとるようにペッパーにキスをした。

㉘へ…

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