「早く君と結婚したい」
トニーがそう言うようになったのは、あの婚約発表から半年程経った頃からだ。ペッパーとて、トニーと早く結婚したいのは山々だ。が、もう何年も同棲しており結婚しているも同然なのだから、先を急がなくてもゆっくりと準備をすれば良いとペッパーは考えていた。が、あまりもトニーが急かすため、きっと彼なりの理由があるに違いないと、ペッパーはトニーに聞いてみることにした。
「それはだな…」
ゴホンと咳払いをしたトニーはペッパーの両手を握りしめた。
「結婚すれば、君は本当の意味で私だけのオンナになる」
「今でもそうでしょ?」
事あるごとにアピールしているのに…と、ペッパーはクスクス笑い始めたが、トニーは真面目くさった顔で言葉を続けた。
「それに、早く君と『家庭』を築きたいんだ」
トニーの言葉にペッパーは彼を見つめた。それは早くに両親を亡くしたトニーがずっと求めていたもの。そしてそれはペッパーも同じだった。真剣で、それでいて熱っぽい琥珀色の瞳に見つめられたペッパーは、トニーの胸元に顔を押し付けた。
「私もよ。私もあなたと同じよ」
そう告げると、嬉しそうに笑ったトニーは、ペッパーの頭にキスをした。