Day 2 8/4 : sharing a bed

初めてベッドを共にしたのは、ペッパーが秘書になってすぐの頃だった。
とあるパーティーで酔っ払ったトニーを彼の自宅に連れて帰ったペッパーは、引きずるように寝室へ連れて行き、何とかベッドにトニーを寝かせた。そしてそのまま帰ろうとしたのだが、寝ているはずのトニーがペッパーの腕を引っ張った。えっ?と思った時には遅かった。ペッパーはトニーの腕の中に閉じ込められ、身動きが取れなくなっていたのだから…。
「…社長?…トニー?」
何度か呼びかけてみたが、トニーはいびきをかいて眠っている。ペッパーは必死にトニーの腕を振りほどこうとしたが、トニーはペッパーの身体に足を絡めてきたのだから、もうどうすることも出来なくなってしまった。
「もう……どうすればいいの?」
すると、はぁと溜息をついたペッパーの耳元で、トニーが囁いた。
「ペッパー………ハニー………」
甘ったるい声に、ペッパーは飛び上がった。が、トニーはペッパーをぎゅうぎゅう抱きしめると、首筋に唇を押し付けた。
一体どんな夢を見ているのだろうか…。
トニーの力強い腕と温もりに心拍数は異常な程上昇し、ペッパーは今や口から心臓が飛び出しそうだった。
結局、酒臭い息と共に吐き出された言葉が気になって、ペッパーは一晩中眠ることができなかった。

2回目は、それから数年後、出張先のホテルでだった。手違いでダブルベッドの部屋しか予約できていないと言われ、仕方なく同じベッドで眠ることになった。
が、思いを告げていないが愛する女とベッドを共にしているのだから、眠れるはずがない。いっそのこと、彼女を抱きしめ思いを告げてしまおうかとトニーは思ったが、こんな場で告白しても得意の冗談だと思われかねないと、彼はぐっと我慢した。彼女が同じ気持ちで背中を向けているは知らず…。
そのため2人とも、一晩中眠ることは出来なかった。

3回目は、思いが通じあった後。スターク・エキスポでの戦いがあった夜だった。
ようやく素直になれたその夜は、2人にとって生涯忘れられない夜となった。甘い言葉もキスも触れ合う素肌の温もりも…何もかもが長年求め続けていたものだったから…。
2人はお互いの温もりに包まれて、久しぶりにゆっくりと眠ることができた。

………

それから何度ベッドを共にしただろう。
今や、共にしない数を数えた方が早いかもしれない。
初めてベッドを共にして数年…。ずっと変わらなかった2人なのに、数年前から変わったことがあった。それは共にする人数が増えたこと…。

「眠れた?」
ペッパーの問いかけにトニーは首を振った。そして自分たちの間で眠っている娘の頬を撫でたトニーは、妻に向かって静かに微笑んだ。
「こうやって、また一緒に眠れるなんて…夢のようだ…。嬉しくて一睡も出来なかった…」
トニーは右腕の義手を伸ばすと、ペッパーを抱き寄せた。
これからもずっと共に眠ることが出来ますように…と祈りながら…。

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