Day 4 8/6 : morgan stark

『流れ星に願い事を言うんだ。きっと叶えてくれるぞ?』
お星様を眺めている時に、パパはあたしに教えてくれた。
でもパパは、自分がお星様になっちゃったって、ママが教えてくれた。パパはヒーローだから、悪い人をやっつけた代わりに、空のお星様になったって、ママは泣きながら教えてくれた。

だからあたしは毎日、お星様を眺めた。どのお星様がパパなのか分からないけど、早くパパに会いたいから、パパのお星様を早く見つけたかった。
それから、流れ星を見つけたら、パパが教えてくれたみたいに、お願い事をしないといけないから。

パパが作ってくれたテントに寝転んでお星様を見ていたら、ママが毛布を持ってやって来た。
「モーガン、風邪引くわよ」
寝っ転がってお星様を見ている私に、ママは毛布を掛けてくれた。
「何してるの?」
空を見上げたママに、あたしは教えてあげた。
「パパのお星様を探してるの!」
ママが少しだけ笑った。でもママはとっても悲しそうだった。ママは何も言わないけど、毎日夜になると泣いてる。ママはパパが大好きだから、きっとパパに会いたくて泣いてるって思ったあたしは、ママの代わりに、早くパパのお星様を見つけなきゃって考えた。でもお星様は沢山あるから、なかなかパパのお星様は見つからなかった。

「あ!流れ星!」
目を閉じたあたしは、流れ星にお願いをした。
「パパがお家に帰ってきますように…」
するとママが悲しそうな顔をした。
「モーガン…」
ママは流れ星のお話を知らないのかな?と思った私は、パパが教えてくれたお話をママに教えて上げた。
「パパが教えてくれたの。流れ星はね、お願い事を叶えてくれるお星様だって。でもね、流れ星は忙しいから、空からいなくなる前にお願い事を言わないといけないんだって!」
「そう…」
ママは小さな声でそう言うと、あたしの頭を撫でた。ママの手はパパの手みたいに温かかった。あたしはパパが恋しくなった。パパに会いたくなった。もう何回も流れ星にお願いしてるのに、流れ星はお願い事を聞いてくれない。

あ、そうだ。いい子にしてないと、流れ星はお願い事を聞いてくれないんだった。パパとお星様を見てる時に、『いちごのジュースポップがたべたいです』ってお願いしたら、パパは大笑いして、『モーガンがいい子にしてたら、流れ星は願いを叶えてくれるぞ?ん?モーガンはとっくにいい子だよな?だったらパパが流れ星の代わりに、モーガンのお願いを叶えてやろう』って、あたしにイチゴのジュースポップを食べさせてくれたんだ。
いい子にしてたら、お願い事を聞いてくれるんなら、今のあたしはいい子じゃないのかな?そう考えたあたしはママに聞いた。
「ねぇ、ママ。あたしね、毎日お星様にパパが帰ってきますようにってお願いしてるの。でもね、パパは帰ってこないでしょ?いい子じゃないとお願い事、聞いてくれないのかなぁ…。あたしがいい子にしてたら、パパ、お家に帰ってくるかなぁ…」
ママが黙ってあたしを抱きしめた。

ママは震えていた。
ママは泣いていた。

ママが泣くと、パパは黙ってママのことをギュッと抱きしめていたのを思い出したあたしは、
「ママ…泣かないで…」
と、ママのことをギュっと抱きしめた。
ママが息を飲んだ。そしてあたしをギューっと抱きしめた。
「モーガン…パパは…パパは……」
ママは声を上げて泣き始めた。こんなに泣くママを、あたしは初めて見た。

パパがお家に帰ってこなくなってから、あたしの前でママはいつも笑ってた。でも、ベッドの中でママはいつも泣いてた。パパの写真を抱きしめて、ママは泣いてた。でもあたしとパパのお話をする時のママは、悲しそうなのにいつも笑ってた。

『パパはお星様になったけど、流れ星がお願いを叶えてくれたら、お家に帰ってくる』
パパが急にいなくなって寂しかったあたしは、そう思おうとしてただけ。

分かってた。パパはもうお家に帰ってこないって分かってた。
パパは帰ってきたくても、帰ってこれないって分かってた。
パパはお星様になったんじゃなくて、天国に行ったって分かってた。
パパは…死んじゃったんだって…分かってた…。

でも、お星様を見ていたら…パパがそばにいる気がした。
だって、あたしはパパとお星様を見るのが大好きだったから…。パパがあたしのことを抱っこしてくれて、お星様のお話をいっぱいしてくれるのが大好きだったから…。時々ママもパパに抱っこしてもらって、パパとママとあたしと3人でお星様を見るのが大好きだったから…。その時のママは…パパに抱っこしてもらってるママは、とっても嬉しそうだったから…。
だからお星様を見てると、パパのことを思い出して、パパがあたしのことを抱っこしてくれてる気がした。
だから、あたしは毎日お星様を見ていただけ…。

ママは泣き止まなかった。
でも、あたしはママに泣いて欲しかった。
ママはずっと我慢してたから。本当は泣きたかったのに、あたしがいるから我慢してたんだから…。
あたしも泣くと、ママがまた我慢しちゃうと思ったから、あたしは泣かないで我慢した。
でも、ママが泣いたら、きっとパパは天国で泣いてる…。だって、パパは笑ってるママが大好きだったから…。
だからあたしはママに言った。
「ママ…あたし…お星様にお願いするの、もう止めるね…」
「え…」
ママが泣き止んだ。涙を拭いたママは、困ったようにあたしを見つめた。
「だってね、パパがお星様でしょ?きっとパパはあたしだけじゃなくて、他のお友達のお願いも聞いてるんだよ。それからね、パパはアイアンマンだから、困ってる人をお星様になっても助けてるんだよ」
そう言うと、ママは少しだけ笑った。
「お願い事だけじゃなくて、お話したら?きっとパパはモーガンのお話を聞きたいって思ってるわよ」
ママは空を見上げた。そして大きく息を吸い込むと、笑顔であたしを見つめた。
「モーガン。ママはもう泣かないわ。ママがずっと泣いてたら、きっとトニーは…パパは心配して、ゆっくり眠れないから…。それにね、きっとパパは…もっと楽しく生きろって…笑って生きろって言うはずよ…」
ようやくママが笑った。
だからあたしも決めた。私も笑っていようって…。パパに沢山お話ししてあげようって…。

それから、あたしはお星様に毎日お話をした。
きっと天国にいるパパは、あたしのお話を聞いてくれてるから…。

「パパ、今日ね、ハッピーおじちゃんと、チーズバーガー食べたんだよ」
こっそり持って帰ってきた食べかけのチーズバーガーをアイアンマンのヘルメットの前に置いた。
「あとね、ストロベリーシェイクも!パパも好きなんだよね?ハッピーおじちゃんがね、教えてくれたよ」

すると、お星様がキラッと光った。
やっと見つけた。パパのお星様。
きっとあのお星様がパパのお星様。
あたしのお話に、パパが大笑いしてくれたから。

そうだ、ママに教えてあげよう。パパのお星様を見つけたよって。そうしたら、ママもお星様のパパとお話できるから…。

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