I love you three thousand…⑩【END】

一週間経ち、トニーは退院することができた。
数ヶ月ぶりの我が家。
湖のそばに立ったトニーは、季節がすっかり変わってしまった景色を一人で眺めていた。

と、モーガンがパタパタと駆け寄って来た。
「パパ!ぶらんこ、なおして!」
何ヶ月も前に壊れたと言っていたブランコ。早く直してやりたいのは山々だが、片手では無理がある。
「モーガン、パパは右手がないから、まだ無理だ。もう少し待ってくれ」
そう言うと、トニーはモーガンと手を繋ぎ、家の中に入っていった。

何をするにも片手では不便だと、トニーは早速義手を作り始めた。アーマー作りよりも簡単だと言わんばかりに、2日後にはトニーは自分の手のように動く義手を作り上げた。
リアクターを動力源にした義手。再び戦うことはないが、これでアーマーは本当に身体の一部になったのだ。

早速約束どおりブランコを直したトニーは、湖畔に腰を下ろした。
と、ペッパーがやって来た。
「モーガンは?」
ブランコで娘と遊ぼうと考えていたトニーは、娘の姿を探した。
「残念ながらお昼寝中よ」
クスクス笑ったペッパーは、トニーの隣に腰を下ろした。すると、トニーが義手でペッパーの手を握りしめた。
「どうだ?」
「感じるわ…。あなたの温もり…」
「そうか…」
少しだけ笑ったトニーは、庭の一角に目を向けた。何もなかったはずの場所には、何かを植えたような跡がある。
「何植えたんだ?」
「あなたの好きなひまわりよ。夏になったら、沢山咲くわ」
そう言うと、ペッパーは甘えたようにトニーの肩にもたれかかった。
「ねぇ…3000回愛してるわ…」
「あぁ、知ってるさ…」
ペッパーを抱き寄せたトニーは、コロンと地面に横になった。

彼の胸で再び輝きだしたリアクター。
が、それは戦うためではない。
ここで幸せに生きていくための、パワーの源…。

リアクターに指を滑らせたペッパーは、首を伸ばすとトニーにキスをした。ペッパーの腰を右の義手で抱えたトニーは、首筋に赤い印を刻みつけた。
「愛してる…永遠に愛してる…」
トニーが耳元で囁いた。そして腕の中にペッパーを閉じ込めた。
力強い腕と、甘ったるいその声に、ペッパーは自分がようやくあるべき場所に戻って来た気がした。

私たちは幸せになれる…。
今までよりもずっと幸せに…。
誰だって、ハッピーエンドが好き…。
だから、私たちの物語も、ハッピーエンドで終わなきゃ…。

【END】

EG、トニーには生きていて欲しかった。ペッパーと幸せになって欲しかった。
5年間幸せだったから十分だと、脚本家はいい、トニーが死ぬのは決まってたと監督は言ってますが、RDJ自身は最後まで納得してなかったようですね…。役者は製作陣に従うしかないと、彼は常々言っていますし、EGのラストもかなり説得されて最後は受け入れたようです。
だからこそ、こんな感じの幸せなハッピーエンドで終わって欲しかった。ようやく手に入れた家族と、普通の幸せをトニーは手に入れ、余生を過ごして欲しかったです。
そんな思いを込めて書きました。

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