Until now I have been looking for you.⑳

それから数週間たったある日。
「週末にさ、俺の家でパーティーを開くんだ。みんなに迷惑かけたんだから、お袋が張り切っててさ。それで…」
放課後、校内を歩きながらペッパーに話をしていたトニーだが、誰かに気がついたのか、立ち止まると小さく舌打ちした。トニーの顔ばかり見ていたペッパーが彼の視線の先に目を向けると、向こうからよく知った女性が手を振りながら走ってくるではないか。
「ペッパーちゃーん!!」
「来た……」
はぁと溜息を吐いたトニーだが、駆け寄ってきたマリアは、息子を無視するとペッパーの手を握りしめた。
「ペッパーちゃん、トニーから聞いたかもしれないけど、週末にパーティーを開くの。うちのバカ息子が皆さんにご迷惑をおかけしたでしょ?だからそのお詫びに、お友達を大勢呼んで…」
「今話してたところだ」
母親を遮ったトニーだが、マリアはそんな息子を睨みつけた。
「トニー、あなたは黙ってて」
こうなったら何を言っても無駄だと、トニーは肩を竦めた。
「それでね、ペッパーちゃんにも色々手伝ってもらいたいの」
「えっ?わ、私がですか?!」
スターク家のパーティーを家族でもない自分が手伝ってもいいのかと、驚いたペッパーは飛び上がった。だが、マリアはさも当然のように頷いた。
「えぇ。だって、パーティーの用意を娘と一緒にするのが私の夢だから!」

(む、娘って……えぇぇ!!)

娘ということは、つまり…と、流石のペッパーも頭の中は大混乱。見るからに慌てふためいているペッパーに、マリアはふふっと笑みを浮かべた。
「そうよ!あなたたち、どうせ結婚するんでしょ?あなたがトニーのお嫁さんになるんなら、ペッパーちゃんは私の義理の娘になるってことでしょ?だからね、私、あなたのことをもう娘だと思ってるのよ!」
一人盛り上がる母親と、固まっている恋人を見たトニーは、母親に向かって鼻を鳴らした。
「お袋、ペッパーが迷惑がってるだろ」
が、流石はトニーの母親だ。彼女の方が一枚上手だった。
「あら、トニー。あなたはペッパーちゃんと結婚しないの?散々手を出しておいて、それはないでしょ?責任取って結婚しなさい!それとも、何?結婚しないつもりなの?ママ、知ってるのよ。あなたたち、ここのところ毎日セッ……」
「か、母さん!!」
顔を真っ赤にしたトニーは叫ぶように母親の言葉を遮った。
頭から湯気が出そうなくらい顔を赤らめているペッパーの手を握りしめたマリアは、
「ということで、ペッパーちゃん、もう授業は終わったのよね?行きましょ?」
と言うと、ペッパーを連れてあっという間に消えてしまった。

後に残されたトニーは、その場で立ちすくんでいたが、様子を伺っていた仲間たちがニヤニヤ笑いながら近寄ってきた。
「おい、トニー!お前たち、いつ結婚するんだ?」
「もしかして、週末のパーティーは婚約パーティーか?!」
からかうようにトニーの肩を叩いたクリントとソーだが、トニーは相変わらず固まったままだ。
「ペッパーは幸せねー。結婚前からお姑さんに気に入られて」
「そ、そうだね…」
ナターシャとブルースまでもが加わり、トニーをからかい始めたため、その場は大盛り上がり。
その時の様子は、こっそり見ていた他の生徒たちから次々と伝わっていき、『トニーとペッパーは週末結婚式を挙げる』という噂が広がっていたとか…。

㉑へ…

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