Responsible person

ホムカミネタバレあり
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「…以上が今日の報告です」
毎日のように届くピーター・パーカーからの報告。1ヶ月もすれば落ち着くと思われた怒涛のメール攻撃は、ヒートアップするばかりだ。中身はほぼ人助けをしましたという報告。中にはブラスバンド部を辞めたなどという、ピーター・パーカーの日常報告もあるのだが、それでも律儀なハッピーは、毎日のようにボスであるトニーに報告に来ているのだが…。

が、肝心のトニー・スタークは、恋人に膝枕してもらい、果たしてちゃんと聞いているのか…。
はぁ…と溜息を付いたハッピーに、ペッパー・ポッツは苦笑い。
「大丈夫よ、ハッピー。トニーはちゃんと聞いてるから。ね、そうよね?」
目を閉じたままのトニーだが、ペッパーに鼻を摘まれると、ゆっくりと起き上がった。そして大きく伸びをすると、肩をほぐすように首を動かした。
「ところで、ハッピー。引越しの準備は?」
念願の『資産管理』を任されたのだが、その第一弾と言うべき仕事が、アベンジャーズタワーの売却に伴う、引越しの責任者という任だった。トニーの数々の開発品…もちろんアーマーやリアクターなどだが…や、トニーとペッパーの私物もあり、明朝時代のアンティークの壺など、一体0が何個付くのだろうかと思うような超高額な物が多々あるのだから、ハッピーは準備に相当神経を尖らせていた。
「はい、順調です」
胸を叩いたハッピーに、トニーは眉を吊り上げた。
「頼むぞ。ペッパーの大事なコレクションもあるんだ。あの壺、お前の命より高額だ。割らしてでもみろ…。分かってるな?」
わざとらしく大きな目を見開いたトニーは、ハッピーをじっと見つめた。
ここで失態を犯せば、資産管理の責任者どころか、会社をクビになりかねない。そうすれば、トニーと出会う前のような生活に逆戻りだ。最もトニーのことだから、そうやって脅していても、クビにするようなことはしないだろうが…。
ゴクリと唾を飲み込んだハッピーは、ブンブンと首を縦に振った。
そんなトニーとハッピーのやり取りを聞いていたペッパーだが、目をくるりと回すとトニーの頬にキスをした。
「トニーったら、ハッピーのこと、あんまり虐めちゃだめよ?」
「分かってるさ、ハニー」
ペッパーの腰を抱き寄せたトニーは、そのまま唇を重ねた。
このままここにいても邪魔なだけだと、ハッピーはそっと部屋を後にした。

1か月前、少しだけ距離を置いた2人は、お互い見ていられない程、自分責めていた。が、やはり離れられない運命なのだろう。結局共に生きることを選んだ2人の絆は、以前よりも深く強固なものになっていた。
「そろそろコイツの出番かな?」
もう9年もポケットに入れ預かっている指輪に触れたハッピーは、仕事に戻ろうとエレベーターへ向かった。

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