l’amour innocent④

翌朝。
「すぐに戻って来るから待ってて」
助手席のドアをそっと閉めたペッパーは、足早に寮へと入っていった。

早朝のためまだ静かな廊下を小走りで駆け抜けたペッパーは、自室に駆け込むとベッドに座り込んだ。
こういう時、余計な詮索をされない一人部屋はありがたい。とは言っても、朝帰りをしたのはこれが初めてなのだが…。
今日は土曜日。これからトニーとディズ○ーランドへ行くことになっている。夜はトニーの家へ戻り、日曜日は映画を見てショッピングに行く予定だ。一応、日曜日の夜には戻ってくるつもりだが、それもどうなるかは分からない。
「月曜日の用意もしておこうかしら…」
荷物を鞄に詰め込んだペッパーは着替えをしようと服を脱いだ。
お気に入りのワンピースを着ようとしたペッパーだが、鏡に映る自分の姿を目にすると頬を赤らめた。
全身に散らばる赤い華は昨晩トニーが刻んだもの。そしてそれは彼のモノになったという証でもあった。
とびっきり甘い一夜を思い出したペッパーは、トニーの一挙手一投足を、そして愛の囁きを思い起こした。途端にお腹の奥が疼き始め、目を閉じた彼女は切なそうに吐息を漏らした。

しばらく妄想の世界へ羽ばたいていたペッパーだが、ハッと我に返ると幻想を振り払うように頭を振り、身支度を整え部屋を後にした。

「お待たせ」
車に乗り込むと、待っていましたとばかりにトニーはペッパーにキスをし始めた。
唇の隙間からトニーの舌が入り込んで来た。昨晩教えられたように舌を絡めたペッパーは、トニーのシャツをギュッと握りしめるともぞもぞと太腿を振り合わせた。
そんなペッパーの様子に気付いたトニーは、唇を離すとわざとらしく眉を吊り上げた。
「どうしたんだ?顔が赤いぞ?」
目を瞬かせたペッパーだが、『あなたとのセッ○スを思い出してたの』とは、恥ずかしくて口が裂けても言えない。
もじもじし始めたペッパーは可愛らしく、トニーは悪戯めいた笑みを浮かべた。
「言わなくても分かってる。昨日の俺とのセッ○スを思い出してたんだろ?」
自信満々に言い放つトニーに、どうしてバレたのかとペッパーは飛び上がった。
「ど、どうして分かったの?!」
「俺も思い出してたから」
慌てふためくペッパーにニンマリ笑いかけたトニーは、エンジンをかけると車を発進させた。

彼も同じ気持ちでいてくれていると感じたペッパーだが、面と向かって告げることができない。
「ねぇ、トニー。私ね…あなたとの…その…。もう抜け出せないかも…」
やっとの思いで囁くように告げると、信号待ちで停車した隙にトニーはペッパーに素早くキスをした。
「大丈夫。俺もどうしようもないくらい、君に夢中だから」

【END】

1人がいいねと言っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。