On Your Side Forever②

そんなある日の事。
社に向かう車中でトニーは今日のスケジュールを読み上げていた。今日は正直、気が進まない予定が入っている。だがビジネスには欠かせない相手だ。
「ミス・ポッツ、今日の会合のお相手ですが…」
いつも冷静沈着なトニーにしては珍しく、声のトーンを落とした彼に、ヴァージニアは眉を吊り上げた。
「知ってるわ。アルドリッチ・キリアンでしょ?」
「はい。AIMの創設者ですが、キリアン氏にはあまりよくない噂もありますのでご注意下さい」
そういうことね…と、ヴァージニアは目をクルリと回した。キリアンの噂はヴァージニアも知っている。大勢の女性と関係を持っており、気に入った相手とは会ったその日に関係を持つとか…。だが、彼は今、勢いのある企業のCEOなのだ。彼と良好な関係を持てば、今後のビジネスにおいて強みになる。そう思い、今回の会合をセッティングしたのだ。
「トニー。彼の噂は知ってるわ。大丈夫。子供じゃないんだから」
笑み浮かべたヴァージニアだが、トニーは心配でたまらなかった。彼は今までの男性とは違う何かがある、だから気をつけろと本能的に感じたのだ。だが、これは彼女が決めること。秘書である自分は、そこまで口を出すことは出来ないのだ。唇を噛み締めたトニーは、気を紛らわせようと書類に目を通し始めた。

その夜、案の定キリアンといい雰囲気になったヴァージニアは、一夜を共に過ごそうと、彼を家へと連れて帰ってきた。
2人のことが心配でヴァージニアの家で待ち構えていたトニーは、帰宅した2人を出迎えたのだが、トニーを見た瞬間、キリアンは目を丸くした。
「これはこれは、スタークじゃないか。久しぶりだな」
楽しそうに笑い声を上げたキリアンは、トニーを見下すように鼻で笑った。
「知り合いなの?!」
まさか2人に面識があると思ってもみなかったヴァージニアは、本気で驚いているが、チラリとキリアンを見たトニーは2人に向かって頭を下げた。
「では、ミス・ポッツ。私はこれで失礼します」
そして彼は足早に家を後にした。

「アルドリッチ、あなたトニーと知り合いなの?」
寝室へ向かう途中も、ヴァージニアの頭の中はトニーとキリアンが知り合いだったという事で一杯だった。
「あぁ。MITで一緒だった。あいつは将来有望なスターク・インダストリーズの次期社長。俺はしがない一学生だった。だから向こうは俺のことなんか知らないだろうけどな。それにしてもあのスターク・インダストリーズの御曹司だった男が、今やただの秘書をやってるなんてな。落ちぶれたもんだぜ」
面白い話だと言いながら、キリアンはヴァージニアの服を脱がせ始めたのだが、彼女はトニーのことを考えていた。

そういえば、トニーのことは詳しく知らない。
一回り近く年の違う彼は、15年前から亡き父の秘書をしており、自分が幼い頃は家庭教師をしてくれた。おかげでハーバード大に入学することができたと言っても過言ではないだろう。
どうしてこうも彼のことが気になるのか分からない。彼はただの秘書のはずなのに…。

結局その夜、キリアンに抱かれながらも、ヴァージニアは一晩中トニーのことを考えていた。

③へ…

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