Everything Is For You⑥

3週間後、2人は同じ家で暮らし始めた。庭にプールまである、学生が住むにしては立派すぎる家に初めは面食らったペッパーだが、大きなキッチンを見ると、美味しい物を沢山作ってあげれるわと目を輝かせた。
家に帰ると温もりがある…それはトニーもペッパーもずっと求めていたことだった。
そして2人きりの生活の中で、お互いのことをもっと良く知ることができた。
例えばトニーは朝が苦手だった。なかなか目を覚まさない彼を、ペッパーは毎日あれこれ手を使って起こすのが日課となっていた。

「トニー、起きて!」
今日も朝一から講義があるというのに、トニーはなかなか起きようとしない。
「うーん……あと5分……」
隠れるようにシーツの中に潜り込んでしまったトニーだが、いい加減起こさないと本当に遅刻してしまう。頬をふくらませたペッパーは、勢いよくシーツと毛布を剥ぎ取った。何も着ていない素肌には寒かったのだろう。くしゅんと小さなくしゃみをしたトニーは身体を丸めたが、まだ起きようとしない。
「トニー・スターク!起きなさい!!」
耳元で叫ぶと、トニーはようやく起き上がり、バスルームへと向かった。

「ふふ…新婚さんみたい」
彼の脱ぎ散らかした服を片付け、朝食の準備をし、一緒に家を出る…。ここには、ペッパーが昔から憧れていた世界があった。トニーは優しく知性に富み、ペッパーの知らない世界を沢山教えてくれた。
幸せな日々は、ペッパーの心の奥底にあった傷を癒してくれた。
だが一方でペッパーは不安だった。この幸せな世界はいつか壊されてしまうのではないかと…。
(神様、お願いします…。今度こそ…今度こそ幸せになれますように…)

夜になり食事を終えたペッパーは片付けるとシャワーを浴び始めた。すると、突然ドアが開き、トニーが入ってきたではないか。
「トニー!」
真っ赤になったペッパーは慌てて胸を隠そうとしたが、それよりもトニーの動きの方が早かった。
「何だよ、一緒に入れば時間も短縮できる」
「た、短縮って……」
背後から抱きしめられたペッパーは、胸を揉みほぐしているトニーの腕をそっと掴んだ。
「その分ベッドで過ごせるだろ?」
ニヤッと笑ったトニーは、ペッパーの耳元にふっと息を吹きかけた。告白された時はまだペッパーの方が高かった身長も、今ではトニーの方が大きくなっており、耳元で囁かれた甘い言葉に、ペッパーはすっかり酔ってしまった。
力の抜けたペッパーの身体を反転させたトニーは、キスをしながらバスルームの壁に彼女を押し付けた。そしていつものように巧みな愛撫でペッパーを高みへと導いていったのだが、シャワーから落ちる水音とペッパーの妖艶な声がバスルームに響き渡り始めると、両脚を抱え身体を潜り込ませた。
下から突き上げられ、トニーの首元にしがみついたペッパーはギュッと彼を締め付けた。小さく唸ったトニーはシャワーを止めると、彼女を抱えたままベッドへ向かった。

「あぁ…君の声…最高だ……」
もっと感じさせようと、1度身体を離したトニーはペッパーをうつ伏せにさせると、尻を持ち上げた。尻を振りながら催促する彼女は妖艶で、ペロリと唇を舐めたトニーは愛の言葉を囁きながら、ペッパーに覆いかぶさった。

その頃、2人の家から少し離れた場所に、1台の車が停まっていた。リフォーム業者のロゴ入りの車だが、窓ガラスにはスモークが張られ、中の様子を窺い知ることはできないが、もう何日も停車している車に、住人の中には不審に思う者も出始めていた。
車の中には数人の男がおり、数多く搭載されたモニターを見ていた。モニターに映っているのは、愛し合うトニー・スタークとペッパー・ポッツの姿。
2人の様子をじっと見ていた男は、手元にあるトニーの写真に目を移すと、右手で握っていたナイフを突き立てにやりと笑った。
「…もうすぐだ。すぐに会えるよ…ヴァージニア…」

⑦へ…

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