「ごめんなさい!」
ある日、トニーが社内をぶらついていると、愛しい女性の声が耳に入ってきた。ペッパーだ。
声をかけようとしたトニーは思わず立ち止まり、柱の影に隠れた。
ペッパーは5人の若い男性に囲まれており…その5人は皆スターク社の社員なのだが…その中心でペッパーは困った顔をしている。
「ポッツさん!なぜダメなんですか?!」
「せめて一度食事でも…」
「入社式であなたを拝見して以来、僕の心はあなたで一杯なんです!」
「今年入社してきたばかりのひよっこですが…あなたを幸せにする自信があります!」
柱の影からこのやり取りを見ていたトニーは、頭を抱えため息をついた。
トニーとペッパーの関係は周知の中なのだが…新人が入社するこの時期、2人の関係を知らず、果敢にも彼女に告白する新人が毎年のようにいるのも事実。
こんなことなら、やはり入社式の挨拶でペッパーには手を出すな!と釘を刺しておけばよかった…(実際はキスをしようとして、ペッパーに止められたのだ が…)。
そろそろ助け船を出してやるか…柱の影からペッパーの元へ向かおうとしたトニーの耳へ入ってきたのは彼女の声。
「私!社長に呼ばれてるんです!それと…ごめんなさい!私、お付き合いしてる方がいるんです。お気持ちは嬉しいけど…ごめんなさい!」
そう言うと、ペッパーは輪から抜け出し走り去った。
ペッパーがその場から離れたのを見届けたトニーは、残された男たちがガックリと肩を落とすのを見ながら、彼女よりも先に自室へ戻るためその場を去った。
***
トニーが自室に戻るやいなや、ドアをノックする音が聞こえた。
「トニー、今いい?」
「何だい?ペッパー」
「明日からの出張の件よ。資料持ってきたからチェックお願いね…」
資料片手にトニーのそばに来るペッパーだが、先ほどの出来事については何も言わない。覗き見していたとは言えず、トニーは複雑な心境になった。
もしや、今回のようなことは自分が知らないだけで頻繁に起こっているのではないか…。
それにしても、どうして彼女の左手の薬指に光る指輪に気付かないのだろう…。もっと明確な印が必要なんだろうか…。
「ペッパー…」
「何?トニー?あ、ここにサインお願いね」
「明日から君も一緒に行こう。仕事の後、美味しい食事をすれば、バカンス気分も味わえるぞ?」
「ダメよ。残念だけど。私はこっちで打ち合わせがあるの…」
がっくりと肩を落とし落胆するトニー。ペッパーはクスっと笑うと、トニーの顔を両手で包みこみ
「もう…子供みたいなんだから…」
唇に優しくキスを落とした。
「君の前だけだ…。だが、子供はこんなことしないぞ…」
ペッパーの腰に手を回し、先ほどよりも深いキスをする。
ペッパーもトニーの首に手を回し、身体がより密着したところで、トニーの手はペッパーのスカートの中に侵入し、下着越しに敏感な部分を触った。
「やっ…やだ…こんなところで…あぁん…」
「嫌がっている割には…」
「いや…言わないで…」
頬を高揚させたペッパーが、トニーの言葉を飲み込むようにキスをする。
こうなればもう止まらない。幸いにも部屋には2人きり。しかも社長室となれば、余程のことがない限り、訪ねてくる者もいない。
トニーがペッパーをデスクの上に押し倒し、両脚を割りいざ本番という時…
「失礼します」
ノックの音と同時に部屋に入ってきた若い男性。
突然の出来事に固まる3人。
突然の乱入者に気分を害されムッとしたトニーだったが、よく見ると、先ほどのペッパーに声を掛けていた5人の中の1人ではないか。
これはチャンス…と内心微笑んだかどうかは定かではないが、トニーはペッパーの首筋に赤い印を刻みながら、真っ赤になって固まる男性に向かって言い放った。
「悪いな…今、忙しいんだ。30分後に出直してくれないか?」
「は、ハイ!!」
慌てて回れ右をした男性社員の後ろ姿に向かってとどめの一言。
「それと、今日みたいに取り込んでいることもあるから、今度から私が入れと言うまでは入ってくるなよ」
「し、失礼しました!!!」
部屋から飛んで出て行った男性社員の姿を見て、お腹を抱えて笑うトニー。かたや
「と、トニー!何言ってるのよ!もう!恥ずかしいじゃないの!」
真っ赤になって顔を覆うペッパー。
「いいじゃないか。悪い虫除けにもなるし…」
そう言いながら、ペッパーの下着をズラしたトニーは、文句を言うペッパーの口をキスで塞ぐと、柔らかな彼女の身体に溺れていった。
実はペッパーもモテると思います