“Agent Carter S2″は1947年のLAが舞台なのですが、ハワード・スタークはピンク色のフラミンゴを飼い始めます。
名前は「バーナード・スターク」

ジャーヴィスはこの鳥をペギーに”The Devil in Pink(ピンク色の悪魔)”と紹介しました。
S2-1&2に登場しましたが、ハワードが登場した3話にバーナードは登場しなかったので、ハワードとバーナードの絡みは見れてませんが、こんな未来があってもいいなという妄想です。
LAのスターク邸には、彼此25年以上、広大な庭を我が物顔で散歩する一羽の鳥がいた。ハワード・スタークの『長男』として君臨するバーナード・スターク。ピンク色のフラミンゴは、スターク家の長男の名に恥じぬように常日頃から優雅な振る舞いを心がけており、その鮮麗された姿は長年にわたりハワード・スタークのお気に入りだった。
自分こそがハワード・スタークの『唯一の子供』。屋敷には他にも多くの動物がいたが、その思いからバーナードは自分は『別格』なのだと認識していた。
が、その座が奪われたのは半年前。というのも、ついに正真正銘の『ハワード・スタークの長男』が現れたのだ。その姿をバーナードは直接見た訳ではない。庭で使用人の女が干している沢山の小さな服や布切れ、時折聞こえる甲高い泣き声、そして窓越しにハワードが小さな人形のようなものを妻であるマリアと共に抱きしめている姿から、バーナードは自分の存在を脅かす何かが現れたのだと悟ったのだ。そしてひょんなことから、その存在が『アンソニー・エドワード・スターク』という名だと知ったバーナードは、そいつに自分の方が優越な存在と思い知らせてやろうと、機会を伺っていた。
が、運命と言うべきか、宿命と言うべきか…。2人…いや、1人と1匹の初顔合わせは、突然やって来たのだ。
12月のある日、庭で一番日当たりのよい場所にやって来たバーナードは目を閉じた。柔らかな日差しにウトウトし始めた時だった。
「ばー!!」
聞きなれない声に目を開けると、スターク家の執事であるエドウィン・ジャーヴィスが小さな赤ん坊を抱いているではないか。数十年の付き合いになるこの執事は、半年前に現れた小さな主の子守兼家庭教師に任命されたと小耳に挟んだ話をバーナードは思い出した。となると、彼の腕の中にいる赤ん坊が噂の『アンソニー・エドワード・スターク』こと、トニー・スタークらしい。
「坊ちゃま、これはピンク色の悪魔でして…」
目の前の鳥に触ろうと手を伸ばすトニーを、ジャーヴィスは押しとどめようとした。何十年も接しているが、このピンク色の生き物はどうも苦手だ。それでもトニーは初めて身近で見る生き物に興味津々だ。
「だー!」
面倒くさそうに目を開けたピンク色のフラメンゴは、首を伸ばすとトニーの小さな指を突いた。初めての感触に驚いたのか、トニーは大きな目をさらに丸くしてバーナードを見つめた。が、嬉しかったのだろう。トニーは満面の笑みを浮かべると、再び触れようと手を懸命に伸ばした。
「がー!!」
バーナードが口を開けて威嚇すると、驚いたトニーは泣き始めてしまった。大粒の涙を零し泣くトニーの背中をジャーヴィスは優しく撫であやしている。
『何だ、小さい奴。泣き虫め』と言うように、トニーを一瞥したバーナードはツンっと上を向いた。
「おい、バーナード、トニーを虐めるなよ」
そこへやって来たのはハワード・スターク。父親の姿を見たトニーは泣き止むと彼に向かって腕を伸ばした。トニーをジャーヴィスから受け取ると、ハワードはバーナードの側に腰を下ろした。
「トニー、バーナードだ。綺麗な羽をしてるだろ?」
トニーの濡れた頬を拭ったハワードは微かに頬を緩めた。そんなハワードをバーナードは今まで見たことがなかった。どうやらこの『トニー』という奴は、ハワードにとって『特別』な存在らしい。となると、『親』であるハワードの言うことだけは忠実に聞くこの鳥は、小さなライバルの存在を否応がなしでも認めてやらなければならないと感じたのだろうか。ハワードを見たバーナードは、次にトニーを見つめると首を傾げた。そして、まるで『俺の方が先だが、仕方ないから仲良くしてやるよ』というようにトニーに近づくと、まだぐずぐずと言っているトニーの側に座り、触れてもいいぞというようにバーナードは頭を屈めたのだ。
「あー」
先程までの態度と打って変わり、やけに素直な鳥の頭に触れたトニーは、笑みを浮かべると父親の方を振り返った。
「よしよし、和解したようだな」
口元の髭を撫でたハワードはニヤリと口の端を上げると、鳥の頭をペチペチと叩いているトニーの髪にキスをした。小さな『弟』の思うがままになっているバーナードは目をくるりと回したが、しばらくすると諦めたのか、目を閉じてしまった。
親子と鳥の様子を見ていたジャーヴィスだが、ピンク色の悪魔もやはり『スターク』なのですね…と、一人頭を抱えていたとか…。