115. Kick

「あかちゃん、ここにいるの?」
目立つようになってきたペッパーのお腹に手を当てたエストは、不思議そうな顔をしている。
「そうよ。ママのお腹の中にいるの」
先程から何度も繰り返される質問。ペッパーもそして隣に座るトニーも嬉しそうに娘を見つめている。
温かくそして優しい雰囲気が分かったのだろうか、それまで静かだったお腹の子供が動き始めた。
「あ!ママ!あかちゃんがうごいた!」
お腹に耳を付けたエストはふふっと嬉しそうに笑うと、内緒話をするように小声で囁いた。
「あかちゃん、あたし、おねえちゃんよ」
エストの声に反応するように動き回る胎児。ゆっくりとお腹を撫でていたエストだったが、ふと何か感じたように顔を上げた。
「ママ、パパ、あかちゃんね、おとこのこよ」
トニーとペッパーは思わず顔を見合わせた。というのも、今回は性別を聞いていないからだ。だが子供には分かると聞いたことがある。
「そうか、男の子か。それなら専用ラボを作らないといけないな」
嬉しそうに笑ったトニーがペッパーのお腹に手を当てると、お腹の子供はその手に触れるように力強く動き回った。

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