9/27はペッパーの中の方の誕生日…ということで、誕生日不明のペッパーの誕生日という設定にさせて頂いてます。
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仕事の電話が入り、自宅のオフィスに30分ほど篭っていたペッパーがリビングに戻ると、それまでテレビを見ていたエストが駆け寄って来た。
「ママ!おたんじょうびおめでとう!」
そう言うとエストは背後に隠し持っていた花束とカードを指し出した。
「あら、綺麗なお花!ありがとう、エスト」
娘からプレゼントを受け取ったペッパーは、姉の後をはいはいしながら必死で追いかけてきたエリオットを抱き上げると、ニコニコと嬉しそうに笑っているエストを抱き寄せた。
「あのね、これもみてね。エリとね、いっしょにつくったの」
カードを指差したエストは、弟の頭を撫でるとニンマリと笑った。その顔は父親であるトニーそっくりで、内心苦笑しながらカードを開いたペッパーは顔をほこばらせた。
子供たちの描いた似顔絵とメッセージ。そしておそらくトニーも手伝ったのだろうが、少し大きめの別のカードには二人の手足型が押されていた。
世界に一枚しかない特別なバースデイカードに、ペッパーは子供たちの頭にキスをすると、二人をギュっと抱きしめた。
「ありがとう、エスト、エリ。ママ、とっても嬉しいわ。早速お部屋に飾らなきゃ!」
立ち上がったペッパーだが、先ほどからトニーの姿を見ないことに気づいた。
「パパは?」
辺りをキョロキョロと見渡す母親に、エストは口を尖らせた。
「アイアンマンのおしごとよ。ママのおたんじょうびなのにね」
呼ばれたのなら仕方ない。エストも分かっているのだろうが、この後家族4人で食事に出掛ける予定なのだ。だが、内心がっかりしているのはエストだけではない。
「そうね。でも、パパの大切なお仕事ですもの。パパが帰ってきたら、ご飯食べに行きましょうね」
「うん!」
クルクルと表情を変える娘は可愛らしく、何もしていないと要らぬ心配をしてしまうと考えたペッパーは、クッキーでも焼こうと子供たちを連れてキッチンへ向かった。
結局、戻るのが深夜になりそうだとトニーから連絡を受けたペッパーは、せっかくだから…とトニーが予約していたレストランへ子供たちを連れて向かった。トニーは念入りに準備していたのだろう。ペッパーの好物ばかりのフルコースに、特製の誕生日ケーキを堪能した三人は嬉々として帰宅したのだが、肝心のトニーはまだ戻っていなかった。
それでも子供たちを寝かしつけたペッパーはトニーを待っていたのだが、流石に日付が変わる頃になり、ベッドに潜り込んだ。ウトウトとし始めた頃、寝室のドアがそっと開き、誰かがベッドの隣に遠慮がちに横になった。背後から抱きしめられたペッパーは、その温もりにふふっと笑うと、クルリと向きを変え、胸元に顔を埋めた。
「おかえりなさい」
シャワーを浴びたのだろう、石鹸の匂いと彼の匂いが混じりあり、ペッパーは彼の胸元の青白い光に頬を摺り寄せた。妻の身体を両腕で包み込んだトニーは、彼女の額に何度も口づけをすると、長く美しい髪に顔を埋めた。
「ただいま。遅くなって悪かった。せっかくの誕生日なのに、台無しだったな。すまなかった」
小さく首を振ったペッパーは顔を上げると、トニーの頬に出来た切り傷にそっと口づけした。
「いいえ、いいの。まだ27日でしょ?それにね、あなたが無事に帰ってきてくれた…それだけで十分よ」
にっこりと笑ったペッパーの笑顔は美しく、何年経ってもトニーの心を満たしてくれる。キスをしたトニーは、頬から首筋に唇を這わすと、Tシャツの裾から柔らかな素肌を撫でた。
「ハニー、遅くなったが誕生日おめでとう。私からのプレゼント、受け取ってくれるか?」
それが何を意味するか分かっているペッパーは、頬を真っ赤に染めながらもトニーのTシャツをキュっと握りしめ頷いた。