Special Holiday⑦

Day6

トニーとペッパーの休暇も残すところあと2日。
前日の夜遅く帰国した二人。強行スケジュールだったため、さすがに疲れ果てており、午後になっても二人とも起きる気配がない。

そこへ訪ねて来たのはトニーの親友ローディ。
「トニーは戻ってるか?」
『ローズ様、お二人とも昨晩は遅くに戻られたため、まだお休み中でございます』
「もう昼過ぎだぞ?そのうち起きるだろ?待たせてもらうよ」
『いえ…起きられるかどうかは…』
昨晩からの二人の動向はもちろん周知しているスターク家の電脳執事。遠回しに帰るよう言ってみたはいいものの…。そんなジャーヴィスの心など知る由もなく、勝手知った我が家のようにズカズカと入るローディ。

しばらくリビングでくつろいでいたローディだが、30分もすると飽きたらしい。ふとイタズラ心が沸き起こり、ソファーから立ち上がると、トニーの寝室へと向かった。
『ローズ様…リビングでお待ち頂いたほうが…』
ローディの気分を害さないよう、さりげなく忠告したジャーヴィスだが…。
「ジャーヴィス、ドアの前まで行くだけだ」
と、ローディは聞く耳持たない。
先日、遊びに来たトニーにイタズラされ、トイレに閉じ込められた仕返しではないが、寝室のドアを開かなくしてやろう…。そんな軽い気持ちで寝室へ向かったローディだったが…。

寝室のドアがわずかだが開いており、ローディは思わず中を覗き込んだ。
「トニー?起きてるか?」
薄暗い部屋には大きなダブルベッドが置いてあり、その上にはトニーとペッパーが眠っているのだが…。
二人の上にあったはずのシーツはベッドの下で丸まっており、そして着ていたであろう衣服は部屋のいたるところに散らばっていた。
つまり二人は裸なわけで…。
大の字になって眠るトニー、そしてペッパーはトニーの上に跨るように抱きつき、お互い脚を絡めあっていた。

しまった…。これはマズイ…。
青くなったローディがドアを閉めようとしたその時…。
寝返りを打ったペッパーがトニーの身体から離れ、仰向けになり…。ローディはそれをバッチリ見てしまったのだ。

し、しまった!!!

叫び声をあげそうになったローディは、ドアをそのままに慌てて玄関へ向かった。

ペッパーの…ペッパーの…裸を見たと…トニーに知られたら……こ、こ、殺される!!!!

見つかる前に…と、こっそりと玄関から出ようとしたローディに、勝ち誇ったようにジャーヴィスが声を掛けた。
『もうお帰りですか、ローズ様。だから申したではありませんか…お二人がいらっしゃる時は寝室には…』
この家には、ジャーヴィスという有能な執事がいたのを忘れてた!ジャーヴィスがトニーに言ってみろ…。瞬時のうちに『ジェームズ・ローズ氏、謎の突然死』という一面記事が頭に浮かんだローディは、その場に膝をつくと、宙に向かって拝み始めた。
「じ、ジャーヴィス!頼む!と、トニーには!言わないでくれ!!知られたら…本気で殺される!お願いだ!!頼む!!」
『ローズ様…私はトニー様のことを誰よりも理解しております。ですから、先ほどのトラブルは…』
「と、トラブルは?」
ドキドキして答えを待つローディ。必死なローディを楽しむかのように、間合いを十分取ったジャーヴィスは、
『何かトラブルがあったでしょうか?私は気づきませんでした』
と、澄まして言った。
その言葉にホッと息を吐いたローディは、立ち上がると
「ジャーヴィス、助かる!ありがとう!」
と、急いで帰って行った。

*****
数時間後。
もそもそとベッドの上に起き上がったトニー。横で眠るペッパーは、まだ夢の中だ。ペッパーを起こさないよう立ち上がると、彼女の身体を隠すようにシーツで覆った。

シャワーを浴び、幾分スッキリとした顔でキッチンへやって来たトニーは、ミルクを温め始めた。新聞をめくっていると、頃合いを見計らったジャーヴィスがトニーに声を掛けた。
『トニー様、おはようございます。もう午後3時でございます。ゆっくりおやすみになられましたか?』
「あぁ、ジャーヴィス…。ペッパーはまだ眠ってるから起こすなよ」
『分かりました。お疲れなのに、昨晩も…いえ、今朝方も随分とお楽しみでしたね』
「…」
皮肉たっぷりのジャーヴィスに、トニーは苦笑いしながらホットミルクを飲んだ。

疲れているはずなのに、飛行機で十分睡眠を取ったせいか、はたまた興奮していたせいか、家に着くなり抱き合いベッドになだれ込んだ二人。結局そのまま朝まで楽しんだため、二人とも眠ったのは夜も明けたころだった。

ペッパーが起きる前に何か作っておくか…と、ペッパーに教わった自分でも作れる簡単なスープを作り始めたトニー。キッチンに漂う匂いに腹の虫が鳴り始めた頃、ふと思い出したようにトニーはジャーヴィスに尋ねた。
「そういえば、ジャーヴィス、誰か来てなかったか?」
いつも即座に返答のあるジャーヴィスだが、なぜか一瞬の間があってから答えた。
『…誰も来られてませんよ、トニー様…』
何か隠してないか、ジャーヴィス?だが、ジャーヴィスの言うことに間違いはないだろう…と思ったトニーは、
「そうか、気のせいか…誰かの声がした気が…」
と、スープを食べながら答えたのだった。

トニー様、私はいつもあなた様に忠実ですが…あなた様の親友の命を危険に晒すようなことはできません…。

8へ…

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