Go your own way in life

数日後、双子と共に退院したペッパーだが、安静にしておいたほうがいいということで、ペッパーの母親のシルヴィアが手伝いに来ていた。
「おばあちゃま。これでいい?」
料理を作るシルヴィアの横で、エストは手際良く手伝っている。
「あら?上手ね」
「ママに教えてもらったの」
二人仲良く台所に立つ姿を見届けたトニーは、リビングでエリオットがアニメに夢中なのを確認すると、寝室へと向かった。

「ペッパー、大丈夫か?」
「えぇ…」
ペッパーは寝室のベッドに横になっており、その隣にはアビーがいた。
ペッパーの隣に腰を下ろしたトニーは、小さな娘の頬を撫でた。
「ルーカスは?」
「眠っちゃったの。アビーはまだ起きていたいみたいよ」
ふふっと笑ったペッパーは、アビーの頬を突ついた。
「この子ね、あなたにそっくりよ。私の指を離そうとしないの」
ペッパーの言葉にトニーは思わず口を尖らせた。
「私はそんなことはしない」
「あら?だって眠る時、いつも私を抱きしめてるじゃない?」
クスクスとおかしそうに笑ったペッパーだが、トニーは大げさにため息をついた。
「今は君の代わりに、エストとエリが私に抱きついている…」
「あの子たち、あなたを独占できて嬉しいのよ。エストがわざわざ言いにきたの。『パパね、ママと寝れなくてさみしいと思うの。だからね、今日からママの代わりに私とエリがパパを抱っこして寝るから』って」
その時の事を思い出したのだろう、声を上げて笑ったペッパーだが、アビーがうとうととし始めたのに気づき、口を閉じた。
しばらくすると、アビーは眠ってしまった。ベッドに横になったトニーは、腕を伸ばすとペッパーとアビーを抱き寄せた。

「この子たち、どんな人生を歩むのかしらね」
娘の寝顔を見つめていたペッパーがポツリと呟いた。
「どうしたんだ?まだ生まれて一週間しかたってないのに」
突然何を言うんだと、目を細めたトニー。チラリとトニーを見上げたペッパーは、彼の手をそっと握った。
「私ね、あの時、夢を見たの。産まれてからの出来事が目の前に映し出されるんだけどね。でもね、あなたと出会ってからの事しか鮮明に見えなかったわ。私の隣にはいつもあなたがいてくれる。私は私の事を世界一大切にしてくれる人に出会えたの。それってすごく幸せなことだなぁって思ったの」
守るべき最愛のものに出会えた喜び…それはトニーも同じだった。
ピンチに陥った時、彼の脳裏にはいつも妻と子供たちのことが思い浮かぶのは、彼もまた同じだから…。
「そうだな」
繋がれた手を握り返すと、ペッパーは嬉しそうに笑みを浮かべた。
「だからね、この子たちにも…もちろん、エストとエリにもだけど、私があなたに出会って人生が輝いたような出会いをして欲しいなぁって…」
温かでそして穏やかな妻の笑みを眩しそうに見つめたトニーは、アビーの頭にキスをすると、続けてペッパーの手の甲にキスを落とした。
「大丈夫だ、ペッパー。この子たちは君と私の子供だ。最高の相手を見つけることができるさ」
「そうよね」
首を伸ばし唇を合わせると、二人の間で眠っているアビーがまるで同調するかのように手をバタつかせたのだった。

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