明日晴れるかな(2012年社長生誕祭前夜)

『トニー様、明日5月29日はトニー様の42回目のお誕生日でございますね。夜は誕生日パーティーがありますので、お忘れになりませんように…。では、明日のご予定ですが、10時から会議が入っております。明朝9時にペッパー様がお迎えにまいります。その後…』

ソファーでまどろみながら翌日の予定を聞く。ある種の儀式のような時間の中、明日が自分の誕生日であると同時に、両親が事故で他界した日であることを思い出した。
ふと壁に目を移すと、父と母の写真が目に入った。『私が作った最高のものはお前だ、トニー』つい最近知った父親の思い。生前は語りあうことなく、父が成し 遂げようとしていたことも知る由も無かった。今、父親がやろうとしていた組織に身を投じている自分を見たら、父は何と答えるだろう…
「答えを聞きたかったな、父さん…」
そんなことを考えながら、トニーは夢の中へ沈んでいった…。

明日の朝迎えに行く予定だったけど、帰り際に明日のパーティーに行きたくないといつになく不平を言う彼のことが心配になり、家へ寄ってみた。
名前を呼んでも返事がない。もう寝てしまったのかしら…とリビングへ向かうと、ソファーの上で丸くなって寝ている彼の姿を発見した。
「ジャーヴィス、トニーはいつからこの状態?」
彼の万能な執事に尋ねると、
『ペッパー様、トニー様は35分45秒前に眠ってしまわれました』

やれやれ、やっぱり来てみてよかったわ。こんな所で寝て風邪でもひいたら大変。
「トニー、起きて、トニーったら…」
すっかり熟睡モードね。こんな時のトニーは地震が起きても起きないわ。
「…」
ん?何か言った?思わずトニーの顔を覗き込む。
実は彼の寝顔はカワイイ。起きていても分かるけど、目を瞑ると長いまつ毛がより強調されて、随分幼く見えるの。後、寝る時は何かを抱きしめてないとよく寝れないみたい。朝目が覚めると彼に抱きしめられていて抜け出すのが大変何だから…。

あら?私今なに考えてた⁈…もう!そんなこと、今はいいのよ!とにかく、起こしてベッドに寝かせなきゃ!
「もう!トニーったら!風邪引くから早く…」
「…ないで…」
え?何?寝言?
「父さん、母さん、行かないで…」

え?あ、明日って…
「ジャーヴィス、明日はもしかして…」
『ペッパー様、左様でございます。明日はハワード様と奥様の…』

トニー、そうよね。明日は誕生日だけど辛い思い出もある日なのよね。なのに、毎年この時期になるとちょっとばかり元気のないあなたにハッパかけて無理やりパーティーに出させていたわ…ごめんねトニー。
でも、今年は私がいるわ。いいえ、来年も10年後も20年後もずっと一緒にいるわ。あなたは一人じゃないわ…子猫のように丸くなって眠る彼をそっと抱きしめて、万感の思いを込めたkissをそっと唇に落とした。

「ローディ?こんな時間にごめんなさい…昔からトニーの親友のあなたにぜひ聞きたいことがあって…えぇ、明日の誕生日のことで…トニーが喜びそうなサプライズな企画を用意しようと思ってるんだけど…え!とっておきの企画がある?えぇ、ぜひ教えて頂戴!…えぇ、えぇ………え?そ、そんなことして、嫌われないかしら…え?私がやるから喜ぶ?…はぁ…男の人ってそんなものなのかしら………分かったわ…彼が喜ぶなら…えぇ…ありがとう…おやすみなさい…」

…待って!彼が喜ぶプレゼントって、ホントにこれでいいの?!
やだわ…ドン引きされたらどうしよう…

内心かなり不安に思いながら、私は明日のビッグイベントに向けて準備を始めた。

有能なペッパーがパパとママの命日を忘れるはずはないですね…

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