First Woman

初めて彼に抱かれた数日後。会社帰りにディナーを楽しんだ私たちは、当然のように彼の家へと向かった。
あの誕生日の夜、破壊した家もすっかり元通りになっており、それまでゲストルームしか使ったことのなかった私は『恋人』として初めて彼の寝室へと足を運 んだ。

「あら?ベッド変えたの?」
彼が寝込んだ時など、何度か足を踏み入れたことのある寝室。その時とはすっかり様変わりし、落ち着いた雰囲気となっていた。しかも内装は私好みに装飾されており、そしてベッドは一回り大きくなった気がする。
「あぁ。折角だから改装した。ベッドも変えた。他の女性を抱いたベッドで君を抱きたくない」
当然だろ?というように笑顔を向けた彼だけど、私は少しばかり複雑な気持ちになった。
彼がたくさんの女性と関係があったのは分かっている。女性を連れて帰ってきた翌朝、その『後始末』をするのは何年も私の仕事だったから…。あのアフガニスタンでの出来事の後、彼が一切遊ばなくなったのも事実。
でも、もし…いつかまた、彼が元の彼に戻ってしまったら…私は星の数ほどいる女の一人になってしまうの?彼の愛を疑っているわけではないけど、やはり不安だった。

私のその気持ちに気付いたかどうかは定かではないけど、彼は私を抱き締めるとベッドへ座り込んだ。
「なぁ、ペッパー。実は…今日は私があの時…アフガニスタンで生まれ変わってから初めての夜なんだ…。誰かと共にこの部屋で眠るのは…という意味だが…。それにこのベッドは私もまだ使ってない。つまり、君は生まれ変わった私の初めてのオンナでもあるし、このベッドを一緒に使う初めてのオンナなんだ。…過去の事はいまさらどうすることもできない。だが…それではダメか?」
こつんとおでこをぶつけた彼は、真剣なまなざしで私を見つめた。その眼差しは、私の心の片隅にあった彼への不安を一瞬で消し去ってくれた。
「いいえ、十分よ。あなたが私を抱き締めてくれているだけでも幸せなのに、あなたに抱かれるなんて夢のようだもの…」
嬉しそうに目じりを下げた彼は、私の顔にキスをし始めた。
「夢なんて言うな…。こうしてキスをしているのもすべて現実だ。それに君だけじゃない。私も同じだ…」
頬に触れていた彼の唇が首筋へ移ったのを合図に、私は真新しいベッドに包み込まれていた。
「なぁ?ベッドの使い心地を試してもいいか?気に入らなければ新しいのを買わないといけないし…」
素肌を滑る彼の繊細な手に身を捩り首元に腕を巻き付けた私は、彼の顔を引き寄せた。
「そうね、思いっきり試してね…」
私の言葉に驚いた顔をしていた彼だけど、その後私たちは一晩かけてじっくりとベッドの使い心地を試した…。

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