24:085.絡めた指

トニーがボストンに行って2年。
一刻も早くトニーの元に行きたいと、必死で勉強したペッパーは、大学に飛び級で入学することが出来た。
ペッパーとしてはボストンの大学に行きたいのだが、両親は一人娘であるペッパーにはLAの大学へ行って欲しいと願っていた。そのためボストンとLAの大学に願書を出したペッパーだが、もちろん両方合格しており、どちらの大学に行こうかが悩みの種だった。
だが、やはり一刻も早くトニーの傍に行きたい…そう思ったペッパーは、どうすればいいかトニーに相談することにした。

話を聞いたトニーは思った。結婚を前提に…と挨拶はしたものの、あれは高校生の頃。ペッパーのご両親としては、結婚するかどうか分からない男に娘をゆだねるのは不安だろう…と。

もう一度話し合おうと電話を切ったトニーは、スケジュールを確認し始めた。

数日後の日曜日の朝。
「ペッパー、時間あるか?」
突然かかってきたトニーからの電話。
「うん、どうしたの?」
何かあったのかしら…と声を曇らせたペッパーに、トニーは楽しそうに笑った。
「外見てみろよ」
窓から外を見たペッパーは、声を上げた。家の前には見慣れた車が止まっており、その隣にはスーツを着たトニーがいるではないか。
転がるように外に出たペッパーは、トニーの腕の中に飛び込んだ。
「トニー?!どうしたの?!」
驚きながらもはしゃぐペッパーの頭を撫でながら、トニーは緊張した面持ちで言った。
「君のご両親に挨拶に来たんだ」
「え…」
急に改まってどうしたのかしら…と少々不安気なペッパーを安心させるようにトニーは微笑んだ。
「俺は君と結婚したい。その気持ちはずっと変わらない。もちろん君が大学を卒業してからだけど。だから、こういうことはきちんとしておきたいんだ」

突然現れた娘の彼氏。しかもスーツを着て正装しているのだから、さすがにペッパーの両親も彼が何をしにやって来たのか悟り姿勢を正した。
「突然すみません」
恐縮するトニーにペッパーの母親は偶々作っていたケーキを差し出した。
「いいのよ。でも、来るなら言ってくれればいいのに。美味しい物を作ってあげたのに…」
しばらく近況を話していた四人だったが、トニーは深呼吸をすると姿勢を正した。
「今日は正式にお許しをもらいにきました。ヴァージニアさんと結婚させて下さい。もちろん、大学を卒業してからです。彼女とお付き合いさせていだいた時から、俺は結婚したいと思っていました。お二人が心配されるのも分かります。俺たちはまだ子供かもしれません。ですが、彼女のことを心の底から愛しています。これからの人生、彼女なしで過ごすなんて今の俺には考えられないくらいです。彼女のことは一生大切にします。ですからお願いします」
頭を下げたトニーをじっと見つめていたペッパーの父親だったが、頬を緩めるとトニーの肩を軽く叩いた。
「トニーくん、顔を上げてくれ。分かった。君の気持ちは十分分かった。だが、ちゃんと卒業はさせてやってくれ。これは私と君との約束だ。言いたいいことは 分かるな?」
顔を上げたトニーは
「はい。大丈夫です」
と力強く頷いた。その言葉にペッパーの父親は安心したように息を吐いた。
「正直、不安だったんだ。私たちの目の届かない見知らぬ土地に娘をやるのは…。だが、君がいてくれるなら安心だ。トニーくん、娘を頼む…」
「はい」
隣に座るペッパーの手をそっと握ったトニーは指を絡めた。その大きく温かい手に、ペッパーも一生付いて行こうと決めたのだった。

一方、マリアは…。
LAに正式に本社を移転することになったスターク・インダストリーズ。もちろん、ハワードとマリアもマリブの家に戻って来るわけで…。
ペッパーがボストンの大学に進学すると知ったマリアは泣き崩れた。
「どうして!またペッパーちゃんとすれ違っちゃったじゃないの!」
おいおいと泣く妻を慰めようとハワードも必死だった。
「おい、マリア…。あの二人が結婚したら一緒に住めるんだから…」
すると、マリアは目を輝かせた。
「そうよね!もう!早く結婚すればいいのに!!トニーったら!早く赤ちゃん作りなさいよ!」
「おい…」
それがまだ学生の子供を持つ母親のセリフだろうか…。
頭を抱えたハワードは、一人誓っていた。あの二人が卒業して結婚しても、しばらくは二人きりにするためにNYに住まわせておこう…と。

8月も終わりに近づいた頃。
ボストンへやって来たペッパーは、トニーと一緒に暮らし始めた。
トニーの家は一人暮らしにしては大きく…いや、二人で暮らすにも大きすぎる程の家だった。だが、部屋のあちこちには、服とゴミが散乱しており、ペッパーは固まってしまった。
「トニーって…掃除が苦手なの?」
何度か遊びに来ていたが、その時は綺麗だったはずなのに…。
振り返ったペッパーはあんぐりと口を開けたままだ。恥ずかしそうに頭を掻いたトニーは、モゴモゴと口ごもった。
「君が来る時は、ハウスキーパーを雇っていたから…」
「もう…仕方ないわね…」
と言ってはいるが、ペッパーは嬉しそうに笑った。
「私がいないとダメね?」

家の中を案内するトニーは、今までは空き部屋だった部屋のドアを開けた。
「君の部屋も用意したんだけど…」
実家の部屋と同じような雰囲気にまとめられたその部屋をペッパーは一目で気に入った。
「どうしてトニーは私が好きなものが分かるの?」
何も言わないのに、彼はいつも自分の好みの物を用意してくれる…。不思議そうに首を傾げたペッパーだが、トニーは笑うだけで答えない。
部屋にシングルベッドが置いてあるのに気付いたペッパーは、甘えたようにトニーに抱きついた。
「このお部屋、とっても素敵。でも、私ね…あなたと寝たいの…」
胸元に顔を摺り寄せたペッパーを抱きかかえたトニーは、笑みを浮かべた。
「そう言うと思って、寝室は別だ。それに、ベッドも大きいのに買い換えたんだ。早速使い心地を試さないか?」

こうして始まった二人きりの生活。今までとは違い大学はやはり忙しかった。そしてトニーもその天才的な頭脳のおかげで、今年で卒業できそうなのだが、その 分忙しいわけで、彼はほとんど家にいなかった。

→トニペパ大学生編へ…25:088.初夜

高校生パロ。トニー18歳、ペッパーもうすぐ16歳。

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