2023年も終わる。
今年は本当に色々あった。
失ったものもあったが、戻ってきたものの方が圧倒的に多い年だった。
妻と娘の寝顔を見つめながら、トニーはこの1年のことを思い返していた。
今こうやって2人と同じベッドにいるのは、奇跡だ。2か月前に自分は死んでいてもおかしくなかった。いや、死んで当然だと思っていた。
だが、奇跡が起こり、今こうやって家族と共に生きている。右腕は失ったが、大切なものは全て取り戻すことができた…。
枕元の時計を見ると、日付は超え新しい年になっていた。
2024年…きっと素晴らしい年になる。これからは、妻と娘とそして自分の幸せだけを考えて生きていくのだから…。
「今年も…よろしくな…」
首をのばし妻と娘にキスをしたトニーは、左腕で2人を抱きしめると目を閉じた。