猛烈な痛みに耐え、指を鳴らした瞬間、痛みも何も感じなくなった。ただ、疲労感と眠気がどっと押し寄せてきた。
何かに寄り掛かりたくて、這うようにして歩いていると、誰かが支えてくれた。
誰か分からない。
何故なら、何も見えず、何も聞こえなかったから…。
誰かの気配はする。だが、誰か分からない。
なぁ…疲れたんだ…。少し休ませてくれ…。
目を閉じようとしたその時…。
「トニー…」
ようやく声が聞こえた。
ペッパーだ。
ペッパーの声だ。
ぼんやりとし始めた視界に、ペッパーの姿が映った。
「やぁ…ペッパー…」
やっとの思いで声を出した。
ペッパーは今にも泣きそうな顔をしている。
なぁ…ペッパー…眠いんだ…。
こんなに眠くなったことは、もう何年もないくらい…眠くて仕方ないんだ…。
だが…大丈夫さ…。少し眠れば………元気になるから…。だから…泣かないでくれよ…。
ペッパーを安心させるように笑った。するとペッパーも少しだけ笑った。
ペッパー…ずっとそばにいる…。
なぜなら君は…眠っていても…夢の中に…いつだって会いに来てくれるだろ?
だから…ハニー…大丈夫さ…。すぐに会えるから…。
眠りにつこうとすると、ペッパーが呼び止めた。
「トニー…こっちを見て…」
ゆっくりと顔を向けると、ペッパーは胸元に手を置いた。
どうして…悲しそうなんだ?
少しばかり…眠るだけだぞ…。
安心させようと、彼女の手に触れた。
アーマー越しに彼女の温もりが伝わってきた。
私の愛する…世界でたった一人の…愛する妻の温もりが…。
「ゆっくり眠って…私たちは大丈夫…」
ペッパーの言う通りだ。
ようやくゆっくり眠れそうだ…。
もう何年も…ゆっくり眠ったことはなかっただろ?
だが…いつだって…どんな時も…君はそばにいてくれた。
君と…モーガンと…私のそばに…ずっと…………。
ペッパーが見えなくなった…。
眠気には勝てそうにない…。
今日は…凄く…疲れたんだ……。
だから…もう眠るよ…。
今は…ゆっくり…眠らせてくれ……。
目が覚めたら…モーガンを連れて……遊園地に行こう……。
約束してたよな…。世界が平和になったら……遊園地に行こうって……。
どこに行こうか……。
モーガン……喜ぶぞ?
なぁ……ペッパー…。
楽しかった…。
君と…出会えて……愛し合って……。
ありがとう…
ペッパー………愛してる……。
ずっとそばにいる……。
ペッパー……………。
3000回…愛してる………。