二人の秘密の関係が始まって半年ほどたった頃。
学期末の試験前のため、二人はしばらく会っていなかった。
二人で撮った写真を眺めながら、トニーはペッパーのことを考えていた。もうすぐ夏休み。付き合い始めてから、一度も一緒に出かけたことはない。だが夏休みなら、少しばかり遠出できるか?ただ、問題はペッパーが高校生であること。さすがにご両親の許可なしには…。
そこへドアをノックする音に続き、かわいらしい声が聞こえた。
「スターク先生?」
どうやら生徒が訪ねてきたらしい。慌てて写真を隠したトニーは、部屋のドアを開けた。
「テスト前は入室禁止…なんだ、ペッパーか。おい、入ったらダメだぞ!」
両手に大量のノートを抱えたペッパーは部屋に入ると、机の上にノートの束を置いた。念のためドアの鍵を閉めたトニーは、久しぶりにペッパーと二人きりになれたことで、思わず口元を緩めた。
「もう、違うわ。先生が出していた課題を提出に来たの。はい、うちのクラス全員の分よ」
「なんだ?俺に会うためにわざわざ志願して持って来てくれたのか?ポッツくん?」
ニヤニヤ笑いながら椅子に座ったトニーは、ペッパーの手を引き膝の上に座らせた。
「もう、トニー…ダメよ…。早く戻らないと…。怒られちゃう…」
「大丈夫…キスだけだから…」
十日ぶりのキスは、時々校内で隠れてするキスとは違い、濃厚で蕩けるようなキスだった。
しばらくキスに夢中になっていた二人だが、トニーは名残惜しそうに銀色の糸を引きながら唇を離した。
「充電できたか?あと二週間で休みだろ?テストが終わったら覚悟しとけよ?」
ペッパーを立ち上がらせると、トニーは楽しそうにウインクした。
「そのことなんだけど…。トニー…あのね…。もしよかったら…」
ペッパーがおずおずと差し出したのは、ディ○ニーランドのチケット。
「どうしたんだ?」
「あのね、雑誌の懸賞で当たったの。あ、でもイヤだったら、いいの!彼氏のいる友達にあげるから…」
(何だ、同じことを考えていたのか?)
彼女が気にしているのは、行き先がLAだから…ということだろう。別に家に戻るわけではない。彼女と誰の目も気にすることなく楽しめるなら…。
「イヤなもんか。よし!再来週だったら夏休みだろ?せっかくだ。一泊して帰るか?」
ウインクするトニーをしばらくポカンと見ていたペッパーだが、真っ赤になりながら飛び上がった。
「…うん!お泊まりするんなら…友達にアリバイ工作頼まなきゃ!あ、先生!テスト頑張るからね!」
手を振りながら嬉しそうに出て行ったペッパーの姿を見送ったトニーは、夏休みの計画を練り始めた。
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