2人が恋人となり、1ヶ月が経った。
トニーが作った夕食を食べた2人は、リビングのソファーの上で抱き合いキスをしていたが、頃合を見計らってトニーがポケットから小さな箱を取り出した。
「そうだ。ジニー、プレゼントがあるんだ」
箱の中に収まっていたのは、真っ赤なルビーの輝く可愛らしい指輪だった。
どうして急に指輪をくれたのかと目をぱちくりさせているヴァージニアに、トニーは申し訳なさそうに告げた。
「付き合い始めて今日で1か月だろ?君が持っているものに比べれば、こんなもの、大したことないかもしれないけど…」
恋人になって1ヶ月の記念の指輪。
大したことないなんてとんでもない。彼が自分のために選んでくれたということだけでも嬉しくて仕方ない。初めてのプレゼントに、ヴァージニアは目を輝かせた。
「ううん、凄く嬉しいわ!ありがと、トニー!」
早速指輪を嵌めたヴァージニアは、顔中にキスをし始めた。
キスを受けながらトニーは一人考えていた。
本当は結婚して欲しいと言いたかった。だが、彼女の社会的立場を考えると言えなかった。
彼女はきっと結婚を申し込めば喜んで受けてくれるだろう。だが、周囲はきっと反対するはずだ。彼女はCEOとして、それなりの立場の人間と結婚すべきだ。もし自分がスターク・インダストリーズのCEOだったら、彼女との結婚も反対されないだろうか…。いや、もしそうなら、そもそも彼女と出会いこうして愛を育むことも出来なかっただろう…。
いつか、彼女にプロポーズできる日がきますように…と、トニーはヴァージニアを抱きながら祈るしかなかった。