Engelsburg④

その日を境にトニーのペッパーに対する態度が少しずつ変わり始めた。
トニーは食事の後、必ずペッパーと二人きりで話す時間を作るようになった。そこで二人はお互いのことを少しずつ知るようになった。もっとも、ペッパーの方が長く話していたが…。

そんな日々が2か月程続いたある日、事件は起こった。
数日前から出掛けていたトニーは豪雨の中帰宅した。
「トニー様、見つかりましたか?」
「いるにはいたが…気が進まず逃がした…」
「ですが…もう時間が…」
玄関先で話すトニーとジャーヴィスを、ペッパーは廊下の影からそっと覗き見していた。こんなことをすればトニーに怒られるかもしれないが、突然姿を消していたトニーがようやく戻ってきたのだ。一刻も早く会いたかったペッパーはトニーが帰宅したと聞くや否や部屋から飛び出したのだが、出て行くタイミングをすっかり逃していたのだ。
距離があるため2人が何を話しているか分からないが、トニーの顔色は酷く悪い。壁に手を付き歩き始めたトニーだが倒れそうになりジャーヴィスが慌てて支えた。
(トニー様、きっと雨に当たられて風邪を引かれたんだわ!)
そう思うと、居ても立っても居られなかった。
「トニー様!」
突然現れたペッパーに2人はぎょっとして立ち止まった。
ずぶ濡れのトニーの目は血走っており、そして今まで見たことがない程ぎらついていた。それはまるで獲物を仕留める狼のようで、ペッパーは初めて彼を怖いと感じた。
「ペッパー…部屋に戻れ…。今は…お前に…構っている…余裕はない」
息絶え絶えなトニーはペッパーを追い払おうとしたが、今にも死にそうなトニーをペッパーは放っておくことなどできなかった。
「嫌です!トニー様は風邪を引いていらっしゃるんですよ!これ以上酷くなったらどうされるんですか!」
そう言うと、ペッパーはトニーの身体を支えた。これ以上言っても無駄だと思ったのか、それとも言い争う気力すらないのか、トニーも黙ってペッパーの肩に捕まった。

寒さに震える彼にペッパーは毛布で体を包み込み、温かいスープを食べさせ、昼夜付きっきりで看病した。そのおかげか、2日後には少しは元気になったトニーだが、顔色は悪く何より一気に老けこんだように見えた。
「トニー様にもしものことがあったらと思うと…」
泣き出したペッパーをトニーは堪らず抱きしめた。
(彼女以外にはもう無理だ…)
もっと慎重に進めようと思っていたが、時間がなかった。
「トニー様?」
胸元に顔を押し付けられたペッパーは、トニーの心臓が激しく鼓動を打つのを感じ、顔を赤らめた。そして心のどこかでこの後起こるであろうことを期待してしまった。
「今からお前を抱く」
だからそう告げられても、ペッパーは驚くこともなく素直に頷いた。
「はい、トニー様…。全てトニー様のお望み通りに…」

⑤へ… ここからは一部R-18の内容も含みますので、パスワードが必要です。

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