Ready Aim Fire

IM3直前。キリペパ。

「ポッツくん、デートしよう」
ポッツが振り返ると、上司であるキリアンがいた。
A.I.M.に入社したその日から、なぜかこの男…アルドリッチ・キリアンに気に入られたヴァージニア・ポッツ。顔を合わせるたびに、デートしようとしつこく誘われているのだが、オタク風な風貌に加え、何を考えているのか分からない彼がポッツは上司とは言え苦手だった。
「あの…キリアンさん。何度も言っていますが…私、今は仕事が大事なんです。だから…ごめんなさい!」
ぴょこんと頭を下げた拍子に、手に持っていた資料をばら撒いてしまった。
「す、すみません!」
床に這いつくばり資料を拾う彼女を手助けしようと、キリアンは不自由な脚を引き摺りながら屈んだ。
近くに落ちた冊子を拾ったキリアンは、その表紙に釘付けになった。
『スターク・インダストリーズ』のロゴが光るその冊子。
上司が険しい表情で見つめているのに気付いたポッツは、慌てて冊子を奪った。
「どうしてそんなものを?」
視線を避けるように俯いていたポッツだが、意を決したように顔を上げた。
「あの…今日の夕方、お話しようと思っていたんです。私…会社を辞めさせて頂きます。もちろん、仕事はきちんと引き継いで…」
「そんなことはどうでもいいんだ!なぜスタークなんだ!あんな男の元に行く必要はない!」
自分の言葉を遮るように叫んだキリアンの怒りに、ポッツはビクっと肩を震わせた。
「す、すみません…。わ、私…」
キリアンが怒るのも当然だ。業種の違う会社とは言え、いきなり他社へ行くのだから…。
ただ、ここにいると何か恐ろしいものに巻き込まれる気がした。それが何かは分からない。入社を決めた頃にはなかった雰囲気が、今のA.I.M.には漂っている。そしてそれは、どこか非人道的なものにポッツは感じていたのだった。

本当のことをどこまで話せばいいのかは分からなかった。だが、きちんと話さなければ…と、ポッツは重い口を開いた。
「隠していて申し訳ありませんでした。入社以来、あなたには本当にお世話になっていたのに…。ただ…私が言うのもおこがましいんですが…この会社はどこか 変わった気がします。それに、スターク・インダストリーズに行くと言っても、総務課なんです。スターク社長とはお会いできるような身分ではないんです」
何も言わず自分を見つめているキリアン。その人を射抜くような視線に耐えきれなくなったポッツは、頭を下げた。
「お世話になりました。こんな形でお知らせすることになり申し訳ありません。仕事は最後まできちんと引き継がせて頂きます」
そう言い立ち去る彼女の後ろ姿を、キリアンは睨みつけるようにいつまでも見つめていた。

十数年後…。
長年研究してきた物がほぼ完成し、キリアンは、スーツを着替え鏡に向かった。
時は来た。あの時、あの男に教えられた物をそっくりそのまま返す時が…。
デスクの上には数冊の経済誌。キリアンが手に取った雑誌の表紙を飾るのは、あのトニー・スタークの恋人であり、今やスターク・インダストリーズのCEOでもある昔の部下。
あいつを破滅させる準備は整っている。後は最後の仕上げだ。あいつの大切な物を手に入れ、自分のモノにする。あいつに勝利したトロフィーとして…。
雑誌のペッパーにキスをしたキリアンは、ゴミ箱に投げ捨てると部屋を出て行った。

ペッパーがAIMを去った時の捏造話。

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